師走に入ったので、そろそろ終わりかな――いつもの魚屋さんへ行くと、黙ってマイ皿を受け取る。カツオがあるというサインだ。師走最初の日曜日1日は、そうしてカツ刺しを楽しんだ。
次の日曜日8日は、さすがに一皿すべてカツ刺しとはいかなかった。「では、おまかせ」。カツオ数切れとタコ、タイ、天然ブリの盛り合わせになった=写真。
それからまた1週間。15日に行くと、カツオがあるという。「まだ入荷するの?」「たまたまです」。そんなやりとりをしたあと、名残のカツ刺しを口にした。
ブリは暖水性の魚だという。海水温の上昇に伴い、ブリが漁獲される海域は北上している、とネットにあった。日本海側では北海道でも獲れるらしい。
天然ブリといわれても、太平洋側の東北に住む人間にはその価値がいまひとつわからない(ついでながら、きょう12月20日は「ブリの日」なのだとか)。
タチウオも東日本では水揚げが少なくて、縁のない魚だった。が、このごろは切り身が魚屋の前に干されていることがある。北上中ということらしい。先日、主人から一切れをもらって試食した。白身で、淡白な味だった。
3~4年前、いやそれよりもっと前からかもしれない。早いと10月下旬、遅くても11月に入ると、主人がすまなさそうにいったものだ。「カツオはありません」
それが、11月になってもカツ刺しが手に入る。師走はさすがにあきらめ、1月後半か2月前半に「カツオが入りました」と告げられるまでは、ほかの刺し身にする。
ところが、今年(2024年)の師走は8日こそ盛り合わせに切り替えたものの、中旬になってもまだカツオがあるという。
おろしにんにくとわさび醤油でカツ刺しを楽しみながらも、地球温暖化に伴う海の異変を考えずにはいられなかった。
秋になるとサンマの刺し身、さらに寒さが厳しくなるとタコやマグロ、時にはイワシの盛り合わせで我慢する。いや、我慢するというのは語弊がある。カツ刺しとはまた違った冬の味を楽しむ。
しかし、サンマの刺し身はここ何年か、まったく口にしたことがない。5年前、師走にサンマの刺し身を食べたことをブログに書いている。師走のサンマ刺しは同じ魚屋に30年余通い続けて初めてだった、とある。
先日、全国紙のローカル版にこんな記事が載った。青森・陸奥湾のホタテ稚貝が海水温の上昇で、昨年(2023年)は3割が死んだ。今年も2割が死んだのではないかと、ホタテ漁師が語っていた。
同じ記事のなかで、宮城県は今年度、真珠養殖に向けたアコヤガイの飼育試験に乗り出すことを紹介していた。特産のホヤやカキの水揚げが減り、漁業者の間に危機感が高まっているそうだ。
地球温暖化に伴う海水温上昇が魚の分布と捕獲魚種、栽培漁業、魚の食文化を揺るがしている。
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