街からの帰りに夏井川の堤防を利用する。途中、春になるとみごとな花を付けるサクラ並木がある。
並木のたもとに標識がある。それによると、昭和48(1973)年度以降の小学校卒業生による記念植樹ということのようだ。最初の植樹からだけでも半世紀以上はたっている
ソメイヨシノである。その並木が端から伐採され、後日、街へ行くのに堤防を利用すると、すっかり姿を消していた=写真。
理由ははっきりしている。天狗巣(てんぐす)病だ。それで何年か前の冬、総出で枝の伐採作業が行われた。今度は全伐だ。根元から切られたサクラは30本余りだろうか。
自分のブログをチェックすると、震災前の平成22(2010)年春に、初めて天狗巣病に言及している。
その後も天狗巣病が気になっていたらしい。二度ほど触れた(文章は現時点に合わせて変えている)。
☆2010年4月16日付=街への行き帰りに眺めるのは、やはり夏井川の堤防沿いにあるサクラ並木だ。
こちらはしかし、だいぶ天狗巣病にやられている。花を咲かせずに葉を広げるので、花一色のはなやぎはない。
☆2015年4月11日付=サクラ並木は天狗巣病にやられている。もっと下流、河川敷のサイクリングロードにも、サクラの幼樹が植えられた。
こちらは、何度か大水に見舞われては水没した。そのつど、草本類のごみがかたまりになって引っかかる。ほとんどの木が斜めに傾き、やがて枯れた。
☆2017年12月24日付=街へ行くときに堤防を利用した。人が大勢出て、サクラの剪定作業が行われていた。街からの帰りも堤防を通った。やはり作業が続いていた。
ここを通り過ぎながら思い出したことがある。ある会合で地元の区長さんが言っていた。天狗巣病にやられて、枯れた枝がかなりあるらしい。症状はかなり重いようだ。
ソメイヨシノは、葉より先に花が咲く。天狗巣病にかかった枝は花の前に葉を広げる。やがて枝が枯れる。
いつかは大がかりな剪定ないし伐採・樹種転換を余儀なくされるにちがいない――。
最初の記述から14年。ついに全部伐採をするしかないほど、症状が悪化したということなのだろう。
別の例を一つ。夏井川渓谷にある小集落の県道沿いにも5本ほどソメイヨシノがある。老木で、ほとんどが空洞になっていたり、キヅタがからまったり、先端が枯れたりしている。
大正6(1917)年、磐越東線が全通する。その記念に植えられたのではなかったか、と聞いたことがある。当時、80歳を超えた古老が「私が生まれる前からあった」と言っていた。ソメイヨシノはこれから衰退する一方なのかもしれない。
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