「喪中につき新年のご挨拶を失礼させていただきます」だけではない。「年賀状仕舞いのご挨拶」も=写真。11月のなかばあたりから、改まった文面のはがきが届くようになった。
「妻」や「妻の父」「叔父」が永眠した――。新聞のお悔み情報では故人と喪主を確かめる。が、どちらの記憶もない場合は初めて不幸を知る、ということになる。あらためて差出人の胸中に思いをいたすことが増えた。
時期的には年賀状の投函に合わせた発信だろう。年賀状は、今回は自粛するという知らせでもある。
それとは別に、年賀状をやめるあいさつも近年、目に付くようになった。一番の理由は高齢になったから、だった。知人の「年賀状仕舞い」のはがきにも、「老いの深化」が理由に挙げられていた。
年賀状はやめるが、「おつきあいを断ったわけではありませんので、どうぞこれまで同様のご交誼・ご厚情を」ともあった。
来年(2025年)は満で77歳。私も老いの深化を感じることが多くなって、年賀状仕舞いの思いがちらつくようになった。
8年前のブログにはもう少し元気があった。まだ60代だった。年賀状に関してこんなことを書いていた。
――年賀状は友人・知人から届く1年に一度の“近況報告”でもある。悪い癖で、新年を迎えないと「明けまして……」となれないため、こちらから先に出したのは一度だけだ。元日から、届いた年賀状を見ながら一筆添えて返礼のはがきを出している。
大震災・原発事故後は、西暦の前に「原発震災紀元○年」を入れている。自分のなかにある怒りのようなものが収まらない。今年(2016年)は「原発震災紀元6年」だ。生きているかぎりは「原発震災紀元」を使う――。
帝国データバンクの調べによると、企業の年賀状仕舞いも進んでいる。その主な理由としては、料金値上げ(はがきが63円から85円になった)のほかに、ホームページ・電子メール・SNSでの発信が進んだことが挙げられる。
企業に限らない。海外に住むカミサンの同級生からは、電子メールで新年のあいさつが届く。そんな時代だ。
これまでは、年賀はがきが売り出されるとそれを買い、年末に文案を考えてわが家で印刷する。それが師走の習慣だったが、今年(2024年)は違った。
11月に隣家に住むカミサンの弟が75歳で亡くなった。それで先日、喪中欠礼のはがきを出した。
喪中欠礼のはがきにはひな形がある。印刷所に頼んで印刷した。「原発震災〇年』は省略した。
が、廃炉作業はこれからだ。年賀状仕舞いはいずれ考えるとしても、「原発震災」を忘れるわけにはいかない。
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