12月21日のブログ「雑草学の本」の続き――。稲垣栄洋静岡大学教授の『雑草学研究室の踏まれたら立ち上がらない面々』を読んで、アップデート(更新)した知識の一つが、タマネギは今ヒガンバナ科に分類されている、ということだった。
植物図鑑の分類は時代によって、国によって変わる。植物の分類は自然界の摂理ではない。自然界の摂理を理解しようとして、人間が勝手に決めたものだという。
まず、見た目が似ているもので分けるリンネの分類法があった。次に、単純な花から複雑な花へ進化したという考えに基づく分類法=新エングラー体系ができた。
ところが、その後は逆に複雑な花から単純な花へ進化したという考えに基づいて、クロンキスト体系がつくられる。
そして現在。見た目ではなく、遺伝子に基づくAPG分類体系があらわれ、見るみるうちに普及した。
たとえば、タマネギ。古くはユリ科に入っていた。その後ネギ科が設けられてそこに入れられ、今ではネギ科が廃止されてヒガンバナ科に分類されている。
タマネギも、ネギも同じ仲間だ。ずっとユリ科に属すると思っていたのだが、いつからヒガンバナ科に変わったのだろう。しかも短命とはいえ、一時ネギ科に分類されていたとは。
ネットでおさらいする。リンネの分類から新エングラー体系へ、さらにクロンキスト体系へと切り替わるのは1980年代。
やがてDNA配列の解析が進み、コンピューターも発達したことなどから、20世紀末にAPG分類体系が発表された。
とすれば、タマネギに限らない。その仲間もヒガンバナ科に変わっているはず。まずはウィキペディアのネギをチェックする。ユリ科ネギ属からヒガンバナ科ネギ属に変わっていた。
ヒガンバナ科への変更を知って初めての日曜日(12月15日)、夏井川渓谷にある隠居の庭から三春ネギを引っこ抜いた=写真。
ヒガンバナ科では有毒のヒガンバナを思い出してしまう。古い知識に染まった頭は、どうしてもユリ根に通じるユリ科へと傾く。ネギを見ながらあらためてそう思った。
ニンニクも、ラッキョウもヒガンバナ科、ノビルも同じだ。ネギは科と属の間にネギ亜科が入る。ニンニクなども、そうらしい。
亜科というのは科の下位に位置するといわれても、よくわからない。科に限りなく近い、つまりネギ科と呼んでもいい近さ、ということなのか。
それはともかく、植物学的分類は20世紀と21世紀とでは全く違う。その証拠に牧野植物図鑑も、ネットで検索すると最新版はAPG分類、とあった。
古さびた脳でも最新版、つまりは21世紀型知識についていくくらいの軟らかさは持ち続けていたい。
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