2017年5月27日土曜日

足裏が少しきれいに

 ちょうど1週間前(5月20日)のNHK「おはよう日本」で、シリア内戦を避けて隣国レバノンで民族楽器「ウード」をつくっている職人が紹介された=写真。
 ウードは撥(はつ)弦楽器だ。形が琵琶に似る。シリアと違ってレバノンは湿度が高いらしい。ウードには乾燥した木材が必要だが、レバノンではそれが手に入りにくいのだという。

 同じシリアの「アレッポのせっけん」を思い出した。カミサンが、店でこのせっけんを扱っている。一時販売を中断していたが、震災後、輸入会社から連絡が入り、再開した。輸入会社が取引している製造業者は空爆下のアレッポを脱出して、ラタキアへ移った。せっけんは2~3年、寝かせる。まだアレッポ時代の在庫があるということだった。

 アレッポはシリア最古のまち、ラタキアはアレッポの南西に位置する港町だ。レバノンはラタキアの南方にある小国で、西は地中海、北から東はシリア、南はイスラエルに接する。

 アレッポのせっけんを使っているワケは簡単だ。シャンプーで頭を洗うと2日後あたりからかゆくなり、フケがこぼれ落ちる。アレッポのせっけんに切り替えたら、フケ・かゆみが止まった。今風に言えば、ヘアケアとボデイケアに有用なせっけんだ。

 それだけにとどまらない。昨年(2016年)、同じNHKの朝の番組で知ったのだが、足の裏を洗うと潤いが出てくるという。知らなかった。足裏は触りもしなかったから。
 
 アレッポのせっけんで足裏も洗いはじめる。と、変化があらわれた。細胞が死んで角質化し、ひび割れができたりボロボロに皮膚がはがれたりしていたのが、次第に治まった。冬場はこたつを使うので、足が乾いてカサカサ度が増す。それでも足裏は安定していた。ツルツルまではいかないが、角質が消えてやわらかくなった。横文字を使えば、フットケア。アレッポのせっけんの“薬効”を実感している。
 
 東日本大震災とシリア内戦はほぼ同時に起きた。今なお、避難民はふるさとを追われたまま。体をうるおすアレッポのせっけんも、心を慰めるウードも、風土の異なる土地での生産を余儀なくされている。戦争は庶民の生業と生活を破壊する。戦争は壮大なムダ――ときどき、アレッポのせっけんを通して、そんなことを思う。

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