2019年11月4日月曜日

台風19号㉓歩こう会

「中止してはどうか、という声もありますが」「こんなときだからこそやりましょう」――というわけで、きのう(11月3日)、神谷市民歩こう会が開かれた。スタッフ、住民合わせて40人ほどが参加した。
 コースは神谷公民館から夏井川河口までの往復約9キロ。河川敷には台風19号の大水による流木その他のごみが大量に残っている。このため、岸辺のサイクリングロードは避け、堤防の上から1メートル前後までの残留ごみだけを拾いながら、河口の沢帯(ざわみき)公園を目指して歩いた。そこで昼食・自由時間のあと、公民館へ戻って景品が当たる抽選会を開いて解散した。いわき市青少年育成市民会議神谷支部の地域部会が主催した。

 この日は下流の草野地区でも、堤防の草刈り・ごみ拾いが行われた。同地区内のサイクリングロードのうち、北部浄化センター排水口付近約50メートル区間が、流れ着いたごみで行く手を遮っている。このごみの山の近くで神谷組と草野組がドッキングした=写真上1。

草刈り組に旧知の人間がいた。ごみの山の処理について聞くと、「地元では対応できない、災害ごみだから行政にやってもらうしかない」。そりゃ、そうだ。人海戦術が通用するような量をはるかに超えている。

 堤防上部の残留ごみは、水位がそこまで上がったことを示す“物証”でもある。浄化センター前では一部、ごみの帯が消えていた=写真下。堤防と大水が同じ高さになって越水した? そうだとしたら同センターも危なかった。
 台風19号とその後の大雨の影響で、川の流れはまだ勢いがある。神谷と対岸の平・山崎にかかるサケの簗場(やなば)はいまだに水没したままだ。新川との合流点に飛来するハクチョウもなかなか浅瀬では休めない。
  きのうは朝7時32分、わが家の上空を鳴きながらハクチョウが飛んでいった。どこへ行くのかと思ったら、神谷耕土の田んぼでえさをついばんでいた=写真上2。近くの公民館で歩こう会の出発式が行われたのでわかった。3羽、4羽とやってきて、歩こう会がスタートしたころには60羽近くに膨らんだ。何日か前から田んぼに現れるようになったという。

稲刈りを終えたあとに青々とひこばえが伸びている。たまった雨水で二度目の田植えをしたようだ。いわゆる「冬水田んぼ」。これが、ハクチョウには越冬地での数少ないえさ場になる。

 神谷の字名に「北鳥沼」「南鳥沼」がある。わが家から道路をはさんだ向かい側が南鳥沼。さらに三面舗装の三夜川で仕切られたその北側が北鳥沼。ハクチョウが羽を休めているところから200メートルも東に来れば北鳥沼だ。

水の記憶を記す地形分類図では、わが家は前の道路も含めて夏井川の旧河道の一部だった。南・北鳥沼は谷底平野。大雨が降るとわが家の前の歩道はたちまち冠水する。夏井川の流路が定まらない時代には、鳥沼はアシの茂る湿地帯でもあったにちがいない。それがやがて水田になり、宅地化され、残っていた田んぼも東日本大震災後、姿を消した。

志賀伝吉著『夏井川』によれば、笠間藩の神谷陣屋は「甲州流防河法」を採用し、塩村(平・塩)と接する中神谷村(平・中神谷)の十二所を無堤とした。それで大水が出ると神谷平野は遊水地と化した。同時に肥沃土が運ばれて来た。

今度の台風で上流の小川、平窪が無事だったら、中神谷の十二所付近で越水・破堤が起きていたかもしれない。今もその付近では、夏井川が大きく右に蛇行している。環境美化だけでなく、川の防災についても考えるイベントになった。

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