2019年11月11日月曜日

台風19号㉘「不法投棄は犯罪」

 日曜日は“仕事”を離れて「ワレに返る日」だ。10日にいっぺん、回覧資料を配らないといけない。11月2回目はきのうの日曜日・10日。役所流だと休みの前の金曜日・8日に配れとなるが、自分の仕事の兼ね合いもある。どうしても当日か前後の配布になってしまう。けさ、朝ドラが終わったあと、配る。
 きのうは平の街で今年(2019年)最後の「三町目ジャンボリー」が開かれた。カミサンが親戚の子のブースを手伝うというので出かけた。初めてホコ天になった=写真上。台風19号で被災した農家も出店した。里芋を売っていた若者に聞くと、ネギはダメだったという。里芋は熱帯雨林、ネギは砂漠がふるさと。ネギは、里芋と違って水には弱い。

 親戚の子は体調を崩したらしく、1時間ほど待っても現れなかった。カミサンは手伝いをあきらめて、私と一緒に夏井川渓谷の隠居へ出かけ、草むしりをした。

 朝、街へ行くのに夏井川の堤防を利用した。新川との合流点に20羽ほどのハクチョウがいた。堤防からそれて鎌田地区に入ると、水害ごみの仮置場がある。ロープが張られていた。カラーコーンがその支えになっていて、「不法投棄は犯罪」という札が張り付けられている=写真下。
 各地に水害ごみの仮置場ができた。そこへ水害ごみとは違ったごみを捨てる人間がいる。業者と思われる人間もいたという。それこそ不法投棄ではないか。

ドロボウの話も伝わってきた。1階が浸水したため、2階で寝ていたら、下でごそごそ音がする。確かめに行くと、人がいて「見回りに来た」とうそぶく。浸水して放置状態になっていた車からタイヤを取り外して持ち去る人間もいたという。

「火事場ドロボウ」はいつでも、どこにでもいる。東日本大震災の直後、外国メディアは日本人の我慢強さや忍耐力、助け合いや思いやりの精神を称賛した。しかし、原発避難を余儀なくされた双葉郡内の空き巣被害は、2011年、前年の約30倍、20件から594件に急増した。それを告げる新聞記事を読んだときに、「なにが思いやりだ、なにが助け合いの精神だ」と思ったものだ。

同じ双葉郡内の話――。「一時帰宅をしたら、わが家からテレビを抱えて出てくる隣のじいさんと鉢合わせになった」。じいさんは一時帰宅をしていたが、まさか隣家の人も同様に一時帰宅をするとは思わなかったのだろう。

 大正時代の地域新聞をチェックしていたら、関東大震災後の混乱に乗じて盗みを働いていた「掠奪(りゃくだつ)団」の1人(女)が逃亡先のいわきで逮捕されたという記事(1923年11月18日付常磐毎日新聞)に出合った。

 ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家・ジャーナリスト、スベトラーナ・アレクシエービッチの『チェルノブイリの祈り―未来の物語』(松本妙子訳=岩波書店)にも、こんな村人の声が載る。

「三家族いっしょにもどってきたが、家はすっかり荒らされておった。ペチカはこわされ、窓やドアがはずされ、床板ははぎとられていた。電球、スイッチ、コンセントも抜き取られ、使えるものはなにひとつありゃしない」

 大災害や非常時には、全国からボランティアが駆けつける。きのうは、ボランティアを乗せた京都の観光バスとすれ違った。一方で、邪心に突き動かされる人間がいる。ブレーキが壊れる人間と壊れない人間のその差は何なのか。きょうは東日本大震災の月命日。あすは台風19号襲来から1カ月の節目の日。

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