何日か前、フェイスブックに好間川を泳ぐサケの動画がアップされていた。「そういう季節になったか」という感慨よりは、「おやおや、上流へどんどん遡上(そじょう)しているにちがいない」という心配が先行した。
夏井川鮭増殖組合員でもなんでもない。街への行き帰り、夏井川を眺めているだけの人間だ。眺めているからこそ変化がわかる。
毎年秋、夏井川河口から5キロほど上流の右岸・平山崎と左岸・平中神谷の間に、サケのやな場ができる。今年(2019年)は9月下旬の3連休に、やなをつくる作業が行われた=写真上1。そのやな場が3週間後、台風19号の大水で水没した。
やなは鉄製で、ドラム缶の浮力を利用して斜めに架けられる。右岸にはこれまた鉄柵の生簀(いけす)がやなに接続して設けられる。やなで遡上を遮り、生簀にサケを誘導して、玉網(たも)ですくい揚げ、下流の孵化場へ運ぶ。ときには組合員がやなにたまったごみを除去する、やなの直下で投網を打つ、といったことが行われるのだが、今季は台風前に1、2度見た程度だ。
川が増水すれば、「ふるさとの川」へ戻ってきたサケは、やなを越えて上流へ向かう。毎年、支流の新川や好間川でサケが見られるのはそのためだ。今年はやなの水没日数が長かった。例年以上に上流へ向かうサケが多かったのではないか。
東日本大震災の前は、やなのある左岸にテントが張られ、柱に「サケ売ります メス一尾1500円」の札が取り付けられていたこともある。
いわき市の北、双葉郡楢葉町の木戸川では2015年、震災で中断されていたサケ漁が再開し、一本釣りも2日間だけ試験的に復活した。
同川のサケ増殖事業は、夏井川の比ではない。採捕尾数は震災前の2009年度8万5千弱、翌年度3万8千弱と際立って多かった。一本釣りはサケの有効利用調査という名目で、一日40人限定で1カ月間実施されてていた。ここも今季は台風19号の影響でさんざんだった。先日、テレビが報じていた。
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