庭のモミの木の下に目当てのアカモミタケが群生していた=写真上。夕方にはいつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに行った。
台風19号の直後、渓谷の入り口の小川町・高崎の県道小野四倉線には、片側車線に通行止めの柵が設けられていた。それが、道端の看板「9km先 いわや旅館以降は大型車両通行不可」に替わった=写真下1。営業を終えたいわや旅館は今や渓谷の地名そのものだ。牛小川というよりはいわや旅館といった方が、理解が早い。その300メートル手前にわが隠居がある。
前回、隠居へ出かけたのは10月最後の日曜日、27日。渓谷の道路は障害物が除去されたために、わりとスムーズに通行できた。沢からあふれた水でところどころ道路が濡れていた。前々回の20日も状況は変わらなかった。おとといは、ほぼ道路が乾いていた。大雨を飲み込めずにいた“緑のダム”がやっと正常化しつつあるようだ。
もう11月。カエデはまだだが、渓谷は紅葉のピークを過ぎつつある=写真下2。10月後半から11月前半にかけては、ツツジ類やヤマザクラなど非カエデの黄・赤・茶が人の心を引きつけるのだが、今年(2019年)は行楽客の姿がない。隣の「錦展望台」にある直売所もカギがかかったままだ。
夏井川渓谷の下流、小川・平窪などで台風19号の被害が大きかったこともあって、気持ちはいまひとつ盛り上がらない。原発震災が起きた8年前の春、アカヤシオの花が満開になったときにもそうだった。震災から1カ月余り、誰も花見に来ない。そのときと同じように、紅葉がかわいそう――そんな感覚に襲われた。
自然はときに牙をむく。その自然がまた傷ついた人間の心を癒す。息抜きを兼ねて自然のやさしさに抱かれるのもいいのではないか。
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