台風19号から1カ月たった今も、夏井川水系の被災地区を巡ると胸が痛む。日曜日(11月10日)にカミサンの友達の家(平・平窪)に寄ると、庭に水害ごみが出ていた。ボランティアに助けられて物置の中を片付けたようだ。
わが生活エリアの旧神谷村地区でも、平市街に最も近い鎌田と隣接する塩で浸水被害が出た。
塩の下流、中神谷に住む。街への行き帰り、堤防を利用して夏井川を眺める。大水の前と後とでは河川敷の風景が一変した。川は暴れると恐ろしい――それをまざまざと実感させられる。
古代の川はヤマタノオロチだった。流路が定まらなかった。今は堤防でがっちり動きを封じている。が、現代の川は1匹になってもオロチにはちがいない。支流の小河川を含めて暴れると、ヤマタどころか“アマタノオロチ”になる。それが、今度の台風19号だった。
かつて平の夏井川で「ふるさとの川づくり」事業が行われた。親水空間をつくるのが目的だった。鎌田では川幅が広げられ、広場や水辺に向かって階段が設けられた。ところが、その結果なのか、徐々に中洲があらわれた。中洲は年々肥大して中島になった。ちょっとした船のようになった中島が、今度の19号の大水で浸食され、水面ぎりぎりまで堆積土砂が流された。それについては前に書いた。
「河川の3作用」を学校で習った記憶がある。浸食・運搬・堆積のことをいう。岩石が侵食されて岩くずになり、土砂とともに流され(運搬)、流れがゆるやかになった下流にそれらが堆積する。
大水は流速と流量次第で上・中・下流どこにでも、大小さまざまなごみを置き土産にする。と同時に、岸辺にあるヤナギを根こそぎ流し、堆積土砂をも流す。
夏井川の河川敷にサイクリングロードが設けられている。中神谷の下流にある北部浄化センター付近では、およそ50メートルにわたって流木その他が残り、サイクリングロードをふさいでいる、ということも以前書いた。
神谷の対岸、山崎では10年ほど前、河川拡幅を兼ねて土砂除去が行われ、野球場ができるような広大な河川敷ができた。それが、水辺にヤナギが生え、河畔林になって、前より川幅が狭いくらいになった。そのヤナギたちが流され、なぎ倒されて、見晴らしがきくようになった=写真上。
と思えば、神谷側、サイクリングロードは流れ着いた土砂で砂場のようになっている=写真下。厚いところでは1メートル近く堆積しているのではないか。
鎌田から中神谷まではおよそ3キロ。その短い区間だけでも河川の3作用が見てとれる。アマタノオロチを鎮めるために、神谷では出羽神社の祭礼に川までみこしが繰り出し、みそぎをする。地球温暖化で海水温が上昇し、かつてない大雨がたびたび襲うようになれば、みそぎだけではすまされない?
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