2019年11月24日日曜日

図書館でキノコ狩り

 いわき駅前の総合図書館へキノコ狩りに行く――。この1年というもの、そんな感覚で過ごした。図書館のホームページを開いて、「キノコ」「マッシュルーム」「菌類」でヒットする本を片っ端から借りて読んだ。最近は、読んだ本を忘れてまた借りるようになった。そろそろ本の森のキノコ狩りも終わりのようだ。
1年前(2018年)の秋、キノコ観察会に参加し、小川町の山中でたまたま超珍菌のアカイカタケ=写真上=を採取した。もともとは熱帯地方のキノコだが、胞子が台風に乘って北上し、冬の寒さにも耐えて菌糸を張り巡らし、地上に子実体(植物でいう花)をつくったのだろう。見た目は森のイソギンチャク。東北地方で初めての採取記録になった。

それを、夕刊のいわき民報が記事にした。するとその日のうちに、「キノコの話をしてくれ」と、中央公民館からメールで依頼がきた。研究者ではない。が、キノコの周辺、阿武隈のキノコ食文化や、文献的なキノコの話ならできるかもしれない。1年後ならなんとかなると、安請け合いをした。

それからキノコに関する文献あさりを始めた。たぶん100冊、いや200冊くらいはパラパラやった。

今年(2019年)、ノーベル文学賞は去年の分を含めて2人の受賞が決まった。ポーランドのオルガ・トカルチュクと、オーストリアのペーター・ハントケ。どちらの国もキノコを愛する人間が多い。

すぐ図書館のホームページで2人の本を探し、『昼の家、夜の家』(トカルチュク/小椋彩訳)=写真右=と、『こどもの物語』(ハントケ/阿部卓也訳)を借りた。たまたま翌土曜日(10月12日)の日中、台風19号が日本列島へ接近していた。朝から自宅待機を兼ねて2冊を読んだ。

トカルチュクの本は図星だった。キノコが重要な道具になっていた。ヨーロッパならヤマドリタケ、日本ならマツタケと遭遇したようなものだろう(どちらも採ったことはないが)。

そのあとすぐ、またおもしろい本に出合った。原発震災後に書かれた黒川創の小説『いつか、この世界で起こっていたこと』=写真左=と、ノルウェーの森のキノコ事情をつづったマレーシア出身の文化人類学者、ロン・リット・ウーン/枇谷玲子・中村冬美訳『きのこのなぐさめ』=写真右=だ。

前者の本に収められている「チィェーホフの学校」は、キノコ好きのチェーホフの話に、チェルノブイリ原発と東電福島第一原発の事故を重ねたものだった。

10年前、還暦を記念して仲間と北欧を旅したとき、ガイドにノルウェーの森のキノコについて尋ねたことがある。「虫が少ないので、こちらではキノコが長持ちする」。『きのこのなぐさめ』は、それを実地に全般的に解説してくれるような本だった。

10月から月に1回、3回シリーズで中央公民館の市民講座を担当している。タイトルは「キノコの文化誌」。最終の12月には、毒キノコ、主にベニテングタケの話をする。

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