2015年1月1日木曜日

戦後70年

 きょうは2015(平成27)年の元日。「戦後70年」の始まりだ。「原発震災紀元5年」でもある。床の間の飾りが正月用に一新された=写真。すがすがしい。

 左の小箪笥(こだんす)の上に古い厨子(ずし)がある。高さはおよそ50センチ。中に木製の仏像が入っている。昔、カミサンがどこからか手に入れた。観音開きにした厨子の前には香炉やお鈴(りん)、さかずき、写真など。模擬仏壇だ。

 暮れの12月30日に大掃除をした。現役のころは出勤日だったので、掃除と正月様の飾り付けはカミサンにまかせっきりだった。今もそれは変わらない。朝のうちに回覧物を配布して戻ると、模擬仏壇の掃除を頼まれた。残るところ2日しかないという年の瀬になって、珍しくやる気になった。夕方には白菜を漬けた。「年寄り半日仕事」でいうと、3日分くらいの仕事をした勘定だ。

 仏像は約40センチ。精巧なミニチュアといった感じだろうか。厨子も仏像も軽くはたきをかけ、モップと布でふいた。香炉の灰も、線香の燃えかすを取り除いてきれいにした。

 仏像の奥に父親の戒名を記した紙や、幕末の俳僧一具庵一具の写真(本の口絵にあった肖像画を接写)があった。すっかり忘れていた。
 
 厨子のわきに硫黄島の海岸の黒い砂が入った小瓶がある。父親がその島で戦死したいわき地域学會の先輩が慰霊の旅に加わり、遺骨代わりに持ち帰った。同じように母の兄もその島で亡くなった。遺骨代わりに分けてもらい、田村市の実家と伯父の家の仏壇に供えた。二十数年も前のことだったか。

「戦後70年」は「玉砕70年」「空襲70年」「原爆70年」でもある。あるいはそれぞれの兵士の死から71年、72年、73年……でもある。年の初めに硫黄島の黒い砂を見つめ、孫の未来の時間を重ねて思うのは、「戦後」がこのままずっと続くように、ということだ。

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