いわきからスペインに渡って35年目。中部、ラ・マンチャ地方のトメジョソに居を構える画家阿部幸洋さんの絵画展が、平のギャラリー界隈で開かれている=写真。2月2日まで。
阿部さんは昨年10月、トメジョソにあるアントニオ・ロペス・トーレス美術館で大きな個展を開いた。油絵の本場で画家として認められたあかしだ。それを記念するふるさとでの絵画展で、スペインでの個展にも出品した、比較的大きな作品3点を含む小品25点が展示されている。
彼の20歳のころから作品を見ている。風景を写真のように描くスーパーリアリズムの技法は、若いときに“封印”した。今はラ・マンチャ地方の風物、壺などの静物を描く。
個展のたびに何かテーマを決めて描いている。今回はピンク色を意識して使っている。曇ってはいるが、ピンクがかった明るい空――朝焼け・夕焼けかと聞けば、主に午後の空に引かれて描いているという。作品を「実景」と見る必要はない。画家がとらえた建物・平原・丘・空、夜の街灯……。それら一切が画家の内部で点滅した結果としての心象風景だ。
トメジョソでの個展には、いわきから知人たちが観光を兼ねて出かけた。学校の後輩が添乗員を、内郷出身の草野弥生さん(グラナダ在住)がガイドを務めた。草野さんのフェイスブックを通じて個展や知人たちの観光の様子が手に取るようにわかった。
いわき市立美術館の佐々木吉晴館長もプライベートで個展を見て来た。アントニオ・ロペス(1936~)というスペインの現代美術を代表する画家がいる。甥である彼の才能を見いだしたのは、叔父の画家アントニオ・ロペス・トーレスで、その名前を冠した美術館だということも、彼を介して知った。
作品がインターナショナルのレベルで評価されるまでには、それこそ毎日コツコツと色を研究し、技を磨いてきた長い年月があった。そんなことをあらためて実感する絵画展だ。
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