2015年1月31日土曜日

第5回いわき昔野菜フェスティバル②

 いわき昔野菜フェスティバルは、2011年1月末に1回目が開かれた。江頭宏昌山形大准教授が講演者、パネルディスカッションのコーディネーターとして、欠かさずフェスティバルに参加している。5回目の今年は「各地の伝統野菜を守る取組みについて」と題して、最新の調査結果を報告した=写真。

 1年に1回はいわきを訪れるようになって(いや、調査には来ているのかもしれないが)、市役所、リエゾンオフィス企業組合、生産者と、いわきに知友が増えた。参加者もリピーターが多いのではないか。「一昨年、昨年と選にもれた」。3年ぶりにフェスティバルに来ることができた、という知人がいた。私もそうだが、いわきには江頭ファンが増えている。

 江頭さんは今回、北海道から沖縄まで、全国各地の伝統野菜を守る取り組み事例を報告した。行政レベルでは主に県が手がけている。NPOが中心のところもある。そのなかで、いわき市の「昔野菜」事業は、調査・栽培・普及・図譜発行と、複合的な取り組みがなされている、しかも、県ではなく市が手がけている、という点で、全国に誇れる先進事例であるらしい。

 ここからは江頭さんの話を聴いての空想――。伝統野菜は季節と場所と量が限られる。そのため、流通経路にはのりにくい、いや排除される。自家消費に押し込められる。

 ところが、「経済的価値」とは異なった「物語的価値」には富んでいる。嫁に来るとき、母親が種をもたせてくれた、越中富山の薬屋が種を持ってきた、……。その家、その地域に継承されている伝統野菜には独自の物語があるのだ。
 
 その種・株はしかし、常に消滅の危機にさらされている。伝統野菜を守り、継承しようとすれば、種を、栽培される場を、広くはコミュニティーを守らないといけないのではないか。その支えになるのは「いいものは割高でも買う」という消費者の思い。つまり、「フェアトレード」の精神だ。
 
 逗子フェアトレードタウンの会の理論的支柱でもあるフェアトレード研究者、長坂寿久元拓殖大教授によると(逗子で長坂さんと一緒に講演したミステリーハンターのタレントさんのブログの受け売りだが)、フェアトレードはコミュニティー活動であり、地域開発運動である。いわきの昔野菜にフェアトレードの概念をつないだら、新しい光が見えてくるかもしれない。

0 件のコメント: