夏井川渓谷には、フォトコンテストで入選したり、写真雑誌に載ったりする特定の被写体がある。白く泡立つ渓流を背景にしたカエデの紅葉。葉を落とした柿の木の実。「この木」と「あの木」が、わが隠居(無量庵)をはさんですぐのところにある。
今はカエデの紅葉も散って、渓谷の落葉樹は冬の眠りに入った。常緑針葉樹のモミやアカマツ、山頂部のキタゴヨウなどのほかは、隠居の隣の柿の実だけが唯一、鮮やかな朱色を点描している。入選写真の構図をまねて、ときに下から、横から、遠くから、柿の実にカメラを向ける。天気や時間を考えないから、まともな写真は撮れない。
柿の木がそこにある不思議を思う。広場は水力発電所の社宅跡だ。ある日、発電所の職員がなにかの記念に植えた柿の苗木が大きくなったものか。柿の実は、平地のそれよりは小さい。60年ほど前、親戚が所長としてそこにいた。所長の一家が植えたものかどうかはわからない。が、実がたくさん生(な)るところをみると、柿の木はまだまだ元気がいい。
先日(1月10日)、いつものようにカメラを持って隠居の周りをぶらついた。たまたま望遠で柿の実を撮っていたら、鳥がわらわらやって来た。エナガだった=写真。エナガは、長い尾を除けばスズメより小さい。いや、スズメより小さいメジロより、さらに小さい。
距離にして約30メートル。かなり離れていたので、人間を気にせず柿の実をつついていた。が、せっかちな性格なのか少したつとパッと飛び立った。仲間のシジュウカラやコガラなどカラ類もみんなせわしない。
この時期は混群になってあっちへ行ったり、こっちへ来たりしている。ほかのカラ類もいるのではと、撮影データを拡大してチェックしたが、エナガだけだった。
話は変わって、きょう(1月17日)は阪神・淡路大震災の日。5時46分52秒に胸の中で手を合わせた。あちこちから黒煙を上げる様子をとらえたテレビの空撮映像が今も忘れられない。
平消防署管内では、きょう午前11時からいわき駅前タクシープール広場で、「防災大作戦2016」が開かれる。「防災とボランティア週間」に伴うイベントだ。わが区の自主防災会長(私)あてに、自主防災会員の受付の協力を――という案内がきたので、時間をみて会場へ出かける。
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