この連休に回覧資料をまとめて区の役員さんに届けた。なかに「プラザだより」があった。いわき市生涯学習プラザが1月23~24日に同所で生涯学習フェスティバルを開く。その特集号だ。
2日目の24日午後2時から、北海道在住の作家不破俊輔さんが「天田愚庵とその時代」と題して講演する。おととい(1月12日)、いわき地域学會の先輩、小野一雄さん(歴史)から講演会案内のはがき=写真=がきて、開催がわかった。「プラザだより」をよく見ていなかった。
不破さんは去年(2015年)の夏、福島宜慶さんとの共著で小説『坊主持ちの旅――江正敏と天田愚庵』(北海道出版企画センター、税抜き2400円)を出した。2人は大学時代の友人で、福島さんの奥さんが江正敏の血を引いているそうだ。小説の取材でいわきを訪れたときには、小野さんらが協力した。その小野さんを介して本の恵贈にあずかった。
天田愚庵(1854~1904年)は旧磐城平藩士で、明治の文学史に名を刻む歌僧。江正敏(ごう・まさとし=1851~1900年)も同じ旧藩士だ。2人は竹馬の友で、愚庵に『江正敏君伝』(明治30年刊)がある。小野さんによると、正敏は戊辰戦争後、国内を遊歴し、やがて北海道へ渡って漁業経営者として成功した。
小説にこんなくだりがある。「藩の御用商人である十一屋小島忠平は正敏の親戚である。小島忠平は平町字三町目二番地に十一屋を創業し、旅館・雑貨・薬種・呉服等を商っていた。その忠平はかつて武士であった」。幕末、新島襄がこの十一屋に泊まった。大正初期には、詩人の山村暮鳥が出入りしていた。気にかかっていた店と経営者の情報が一気に増えた。
講演会のテーマは愚庵だが、北からの「正敏の視点」で十一屋や平三町目にも言及するのではないかと、ひそかに期待している。もちろん、話を聴きに行く。
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