2016年6月16日木曜日

ブルーシート

「平成28年熊本地震」から2カ月。家々の屋根がブルーシートに覆われている映像を見るたびに、5年前のいわき地方の光景が思い浮かぶ。ただ、いわきのブルーシートと熊本のブルーシートは、大きさが違うようにも感じられた。
 東日本大震災(地震名は東北地方太平洋沖地震)では沿岸部が大津波に襲われ、壊滅的な被害を受けた。内陸部のわが家の周辺では、石塀が倒れたり土蔵が傾いたりしたが、倒壊家屋はなかった。もちろん、居住に耐えない「全壊」、住むには大規模修理が必要な「大規模半壊」の家は、いわき市内でも少なくなかった。

 いわきでは屋根の頂部の“グシ”が壊れ、瓦が割れたり落ちたりしたため、そこだけを覆うブルーシートがほとんどだった。熊本のはグシだけを覆ったものもあるが、屋根全部を覆っているのが目立つ。内陸直下の「横ずれ断層型」が建物に大きなダメージを与えたのだろう。

 福島県内では、瓦屋さんが休みなく働いた。忙しすぎて自殺した業者もいる。わが生活圏では1年が過ぎたころから、ブルーシートが一つ、また一つと姿を消した。
 
 今は、屋根にブルーシートのかかった家はない、といいたいのだが、山里ではボロボロになりながらもシートがかかったままの家がある=写真。街なかにも屋根が全面ブルーシートの家がある。事情があってそうしているのだろう。わが家の近所では、ブルーシートこそかかっていなかったものの、瓦が一部壊れたままの家があった。その修理が済んだのはつい最近だ。

 九州でも、家の屋根からブルーシートが消えるまでにはかなりの時間がかかる。東北の経験を生かしてほしい――そう思っていた矢先に、福島県抜きの「東北5県」復興支援カタログがネットに載り、炎上した。福岡市に本部のあるグリーンコープ連合という組織には福島県は存在しないらしい。
 
 ともあれ、見た目の復旧・復興は進んでも、個々のレベルでは「あのとき」のまま、というケースもある。
 
 夏井川渓谷のわが隠居は、屋根は無事だった。庭と下の空き地との間には石垣が組まれている。その石垣が一部崩れた。今もブルーシートで覆ったままにしている。復旧にはカネがかかる。どうしたものか、5年たっても結論は出ない。

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