街や夏井川渓谷の隠居へ行くとき、あるいは帰るときのいずれか、山すその田んぼ道や夏井川の堤防を利用する。「翼を持った隣人」に出合えればいいな、そんな軽い気持ちからだ。
再三書いているが、車を運転するときにはいつも小さなカメラを携行する。隠居へはさらに、望遠レンズ付きのカメラを持っていく。
キジなら(距離にもよるが)、小さなカメラでもなんとか撮れる。狙って撮るタイプではないからすべて偶然だ。が、これまでの経験から「いそうだな」そう思って車で移動中、スピードを緩めて見ると、いるときがある。キジが、サギが、カルガモが。いずれにしても「ウオッチング第一、撮影第二」だ。
そんなゆるいウオッチングでも長年続けていると、いい瞬間に出合えることがある。この1週間では――青田から飛び立つアオサギ=写真。わが家の庭にあらわれたシジュウカラ。夏井川堤防上空のチョウゲンボウ、ミサゴ、トビ。こちらはわずか数分の間のタカ三連発だった。
そして、おととい(6月5日)。平・神谷(かべや)地区球技大会が地元の昌平中・高グラウンド(ソフトボール)と体育館(バレーボール)で開かれた。学校は石森山の中腹にある。そばの林のへりで朝からホトトギスが鳴いていた。
ホトトギスは夜も鳴く。幼いとき、その鳴き声を聞きながら、祖母が寝物語に怖い話を語ってきかせた。いやでも鳴き声が耳にこびりついている。
昔、きょうだいがいて、食べもののことで口論になった。食べていないのに「食べたべ」と邪推された方が、身の潔白のために腹を裂いて死んだ。残った方は自分の誤りを悔い、悲しみ、ホトトギスになって「ポットオッツァケタ」=ポッと(腹が)おっつぁ(裂)けた=と鳴き続けているのだという。阿武隈の山里では広く流布している話だ。
そのホトトギスの姿を、ソフトの決勝戦応援中、至近距離で初めて見た。林縁を移動するときのシルエットがチョウゲンボウそっくりだった。
ついでながら、ホトトギスの聞きなしは「トッキョキョカキョク(特許許可局)」が一般的。それはしかし、おかしいと私は思っている。「『特許許可局』的組織はいつできた? 明治以後ではないか。ホトトギスは江戸時代も平安時代も鳴いていた」。土地によって聞きなしが違うのは当然で、中央の聞きなしにしばられる必要はない。
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