2016年6月17日金曜日

種を冷蔵庫へ

 ネギ坊主の数は多かったが、少しタイミングが遅れたらしい。思ったほどには種が採れなかった。すでにこぼれ落ちたものが少なくなかったようだ。
 夏井川渓谷の隠居で昔野菜の三春ネギを栽培している。先日、雨の中、傘をさしてネギ坊主を摘み取った話を書いた。翌日、天日に干し、乾いたところでネギ坊主の一つひとつに眠る黒い種を、殻をたたいたり、振ったり、もんだりしながら取った。

 一つの花序にはどうやら三つのベッド(子房)があって、それぞれ種が二つ、抱き合うように形成される。種は花序の数の6倍、ということだろうか(間違っていたらごめんなさい)

 実用書には、種殻やごみはフーフーやって取り除くとあるが、なかなかうまくいかない。種まで飛ばしてしまう。で、ある年から、「いわき一本太ネギ」の生産者である塩脩一さん(平)の教えを受けて、水につけてより分けるようにした。これが、簡単でいい。

 ステンレス製のザルに種もごみもまとめて入れる。水を張ったボウルにそれをつける。すると、種殻や中身のない種が浮いてくる。ザルのすきまからは細かい砂やごみがこぼれ落ちる。ザルの底に残った種だけを新聞紙の上に広げて陰干しする=写真。これだけ。

 乾いたら小瓶に乾燥剤とともに入れて、冷蔵庫で保管するのだが、梅雨に入ってぐずついた天気が続いている。新聞紙もやっと乾いたようなので、けさ(6月17日)、小瓶と乾燥剤を用意した。あとで冷蔵庫にしまう。

 三春ネギは「秋まき」系だ。10月10日ごろに苗床をつくって種をまき、翌春、定植する。収穫は秋から冬。一部を採種用に残して越冬させたあと、初夏に種を採る。2年がかりのサイクルだ。
 
 庭の全面除染があって、一度、種まきを中断した。以来、2年間、数本を引っこ抜いて食べたほかは、ひたすらネギ坊主のためだけに栽培を続けた。
 
 夏井川渓谷の小集落・牛小川で栽培されている三春ネギはおそらく、田村郡からいわき市川前町を経由して種が伝わった。「自産自消」で種が継承されている。しかし、種は簡単に途絶える。その危険が常にある。種が切れたら、また近所のおばさんに頼んで苗をもらえばいい、と思っていたが、そんな甘いものではなくなってきた。「今はもう自分の家で食べる分しかつくってないの」
 
 ネギの種は寿命が短い。持って2年だ。栽培し続けないことには種が残らない。とりあえず、今年の分を確保したのでホッとしている。

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