日本人に置き換えたら、朝のラジオ体操のようなものだろうか。きのう(6月4日)も書いたが、インドの青年が2人、ホームステイをした。1人が朝、テラスでヨガ体操をした=写真。
ヨガマットの上で足を屈伸させる、両手を、足を高くあげる、体をねじる……。ゆっくりと静かな体操だが、全筋肉を使って体をほぐし鍛える、といったヨガ行の基本を見る思いだった。
インド式の朝の体操を眺めながら、昔、しばらく頭を占領していたことばを思い出した。
江戸時代後期に生きた俳僧一具庵一具(1781~1853年)は出羽で生まれ、磐城平・山崎村の専称寺で修行した。後年、江戸に出て俳諧宗匠として名をなした。
『一具全集』を読んでいたとき――。「瑜伽論(ゆかろん)」とか「腰舟」「浮沓(うきぐつ)」「浮腹巻」といったことばに出合った。腰舟や浮沓・浮腹巻は、人間が水の上を移動するための道具だろう。なにか修行に関係することばらしいことは想像がついたが、「瑜伽論」がわからなかった。「ゆか」」が「ゆが」になり、「よが」つまり「ヨガ」のことだとわかったのはだいぶあとだ。
サンスクリット語のヨガを漢字に音写したものが「瑜伽」。「呼吸法・座法・瞑想法などの訓練によって,普通の人間以上の高度な心身を実現しようとする修行法」と大辞林にはある。地下鉄サリン事件を起こしたカルト教団の「空中浮遊」も、ヨガから発したものだろう。
水上歩行や空中浮遊はともかく、インドの若者は一種の健康法として毎朝、時間をかけて体をほぐし鍛える。朝日に感謝しながら――。ヨガは秘法でも超能力でもなく、心身鍛錬法のひとつ、いや座禅やラジオ体操などの原点だった?
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