夏井川渓谷の紅葉が見事なころ、JR磐越東線江田駅下の広場にテント村ができる。一角で川前の農家が野菜を直売する。あるとき、ナガイモの「むかご」(直径1センチほど)が売られていた。ナガイモはとろろにして食べる。むかごの味はとろろと同じだという。それはそうだろう。
ナガイモは種いもを植えて育てる。やがて地上部から茎が伸び、つるになって支柱に巻きつきながら葉を茂らせる。秋になると、地中では新しくできたいもが大きくなり、地上では葉の付け根にむかごができる。むかごは食用にも、種いもにもなる。
平地のわが家の生け垣に、野生のヤマノイモやキカラスウリのつるが巻きついたことがある。夏井川渓谷の隠居に生えたキノコを土ごと持ってきてほぐし、残土を庭の片隅に捨てたら、そうなった。残土に種が含まれていたのだろう。ヤマノイモにはちゃんとむかごができた。
ヤマノイモで思いだしたことがもうひとつ。イノシシはヤマノイモも好物らしい。土手がほじくられていた。ヤマノイモを掘ったら土を埋め戻すのがマナーなのに、それをしない。たちの悪い人間が増えたと思ったら、犯人はイノシシだったという話を山里で聞いた。
買ってきた川前のむかごは炊き込みご飯にした=写真。むかご飯だ。淡泊な味、サトイモのような食感。少し塩気が足りなかったか。むかご入りのみそ汁も口にした。かめば問題はないが、丸いままのむかごがのどに詰まって、一瞬、呼吸ができなくなった。年寄りにはむずかしい食べ物かもしれない。
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