2023年7月11日火曜日

危険な蒸し暑さ

                     
 7月9日の日曜日は、夜明けに雨が降ったあと、曇ったり晴れたりしながら気温が上昇した。朝、夏井川渓谷の隠居へ出かけたが、風がそよとも吹かない。これにはこたえた。

 日陰になっている畑のへりに生ごみを埋め、周囲に繁茂している草を少し引っこ抜くと、たちまち汗みどろになった。

 時間にして1時間弱。井戸水を飲みながらの土いじりだが、どうも今までとは暑さが違う。午前中はこれで終わり、あとは午後に――と決めたものの、午後もそのまま隠居の中で過ごした。

大気の底面(宮沢賢治のことばでいえば、「気圏の底」)、つまり人間が暮らしている大地の表面が、この日は朝から蒸し風呂のようだった。

土いじりを少ししただけで隠居にこもったものの、室温も30度弱だ。谷風が吹けば、扇風機代わりになるが、その風がない。扇風機をかけても、熱があまり逃げない。結局、横になっても睡魔は下りず、目をつぶっているだけだった。

「そろそろヤマユリが咲き出すかも」。朝、わが家から隠居へ向かいながら、頭にヤマユリの花が思い浮かんだ。

今年(2023年)は植物の目覚めが早い。渓谷の「花ごよみ」も例外ではない。4月のアカヤシオが3月に咲き、5月のシロヤシオが4月に咲いた。

渓谷を縫う県道小野四倉線沿いのヤマユリは例年、7月後半に咲き出す。ほかの植物同様、ヤマユリも早めに咲くのではないか。そう期待しながら進むと、ハクチョウが越冬する夏井川(小川町)の山側で一輪、ヤマユリが開花していた。

平地で咲いているなら渓谷でも――。つぼみが白く変色し、今にも咲き出そうとしているヤマユリがあった。咲き出したばかりのヤマユリもあった=写真。

やはり、早い。きょう(7月11日)はそれから3日目。もう至るところで花が咲き出し、「ヤマユリ街道」になったことだろう。

ヤマユリの花からエネルギーをもらったのはいいが、あまりの蒸し暑さだ、じっとしているだけでも頭が重い。思考力が落ちている。

夜も蒸し暑くてよく眠れなかった。頭がモワッとしているのはおそらく睡眠不足だからだろう。結局、扇風機をかけてじっとしているだけで一日が終わった。

危険な蒸し暑さ――。若いときは、そんな認識はなかったが、加齢と温暖化が進んだことで、今はそれを実感するようになった。

「福岡県と大分県に大雨特別警報」。月曜日は朝からNHKが特番で九州北部の大雨情報を伝えた。最近、よく耳にする「線状降水帯」、これが発生しているということだった。

いわきでも「令和元年東日本台風」の際、初めて大雨特別警報が発表された。山間部の三和地区では、2日間で総雨量448.5ミリを記録した。主に夏井川水系で被害が続出し、9人が亡くなった。

九州北部ではいくつもの河川で氾濫が起こった。テレビが伝える龍のような濁流を見ながら、あのときの記憶がよみがえった。

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