カミサンがシルバー川柳の本を読んでいた。すぐ読み終えたようなので、あとからパラパラやってみた。
みやぎシルバーネット+河出書房新社編集部編『笑いあり、しみじみあり シルバー川柳 丘を越えて編』(同書房新社、2022年)=写真。
仙台市で発行されている高齢者向けのフリーペーパー「みやぎシルバーネット」に、「シルバー川柳」欄がある。その投稿作品から構成されている、ということだった。
年をとれば体のあちこちにガタがくる。なかでも、目や耳、歯を詠んだものはストレートに気持ちが伝わる。
・美女歯科に行く時いつもモンダミン(69歳)
・起きてから寝るまでおしゃべり口腔ケア(85歳)
・補聴器を耳栓したかという夫(71歳)
歯は「親知らず」が1本欠けただけだが、若いときに何カ所か虫歯治療をしている。これ以上虫歯が増えないよう、朝だけでなく夜も歯を磨くようになったのは70歳を過ぎてからだ。
右の耳は若いときから難聴気味だった。先日、カミサンが「セミが鳴いてる」といったが、右耳では感知できなかった。
五七五にはしないが、現実に「シルバー川柳」に投稿したいくらいの自ネタはある。でも、それをやるとたぶん、おかしくなるのでやらない。70年以上生きていると、いろいろあるのだ。
ま、それはさておき、『シルバー川柳』には「昭和」の時代を伝える特集もある。シルバーにとっては少年・少女、あるいは青春まっただなかだったころの「真実」でもある。
・オーモーレツ テレビに近づきのぞいたよ(74歳)
・思い出すミッチーブームで沸いた日を(93歳)
・この足でおどった昔なつかしむ(92歳)
昭和30年代、田舎の家庭にもテレビが普及する。きっかけは現・上皇夫妻の御成婚だった。そのころ高校生だった女性は「ミッチー」と呼んで熱狂した。私はまだ9歳。熱狂もせず、熱狂を理解することもなかった。
しかし、その後、10代後半には、「ツイスト」という踊りを覚えた。「この足でおどった」のは、社交ダンスかツイストか。たぶん、ツイストだと思うのだが。
さてと、「シルバー川柳」の延長で、「シルバーポエム」のようなものも紹介しておきたい。といっても、本人は詩を意識していたわけではない。自分のライフワークを語るとき、ついポエムに近づく。
朝ドラ「らんまん」のモデル、植物学者の牧野富太郎の「語録集」を読んで、そんな印象を受けた。
「言葉と植物」編集班編『「好き」を貫く牧野富太郎の言葉』(青春出版社、2022年)を図書館から借りて読んだ。
「もうこんな年になったとて/老人ぶることは私は大嫌いで、/何時(いつ)も書生のような/気分なんです」「家にたてこもっている人では/とてもこの学問ができっこない」
植物研究はともかく、「老人」ではなく「書生」の心でいる、家に立てこもらない、というような覚悟は、なんとなくわかる。
別の言葉でいえば、「こどものような好奇心」を持ち続ける――それに尽きるのかもしれない。
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