2023年7月21日金曜日

谷側の道路が陥没

                      
 川の流れからいうと、山地の夏井川渓谷を過ぎて、平地の扇状地へと抜ける、その接続部といってよい。

 段丘にできた小さな平地の右岸に沿って夏井川が流れる。左岸域には水田と県道小野四倉線、JR磐越東線。そして、道路と線路のすき間に何軒か家が連なる。

水田の上流側は、いわき市四倉町から延びる福島県広域農道の終点部に変わった。まだ利用はできない。

 同市小川町上小川字高崎――。文字通り、段丘上の先端を示すような地名ではある。山は迫るが、渓谷の急な崖と谷はゆるくなり、尾根が低くなって平地に滑り込む。

 とはいえ、一部、渓谷の名残というのか、谷側の県道が何メートルものコンクリート護岸で守られているところがある。

その護岸を残したまま、道路の一部が陥没し、谷側の車線に転落防止柵と仮設の信号機が設置された=写真。

 それに気づいたのは7月前半の日曜日、夏井川渓谷の隠居へ出かけたときだ。その1週間前の日曜日には何ともなかったから、わずか数日の間に異変が起きたことになる。

 異変の原因は雨だろうか。データの分かる上流・川前、下流・平でも7月上旬は、それぞれ3日ほど軽い雨が降った程度だ。

 平地区では6月下旬(29日)、豪雨に見舞われた。この雨が小川町の高崎あたりまで及び、やがて道路が陥没する誘因になった、とはどうも考えにくい。

 ただ素人目にも不思議なのだが、谷側に設けられたガードレールと路肩はなんともない。道路からは見えないが、コンクリート護岸のどこか、下の方が破損して道路内部の土砂が流失したか。しかし、それもよくわからない。

 県道小野四倉線は渓谷の幹線道路である。山側は崖、谷側も崖になったり、川と同じ高さで並走したりしているため、絶えず落石や倒木、冠水、路肩崩落などの危険がある。

 東日本大震災が起きたときにはしばらく通行止めになった。隠居へは国道399号の横川地区から江田地区へと、母成(ぼなり)林道を迂回して出かけた。

 さらに、令和元年東日本台風では、小規模な土石流や落石、土砂崩れ、路肩崩落などが相次いだ。

 なかでも狭隘なのが、高崎から「地獄坂」を駆けあがり、江田へと向かう一帯だ。山側の急斜面には一部、ロックシェッドが設けられ、ワイヤネットが張られている。

そこの谷側に1カ所、路肩が崩れて何年か前からカラーコーンが置かれているところがある。最近工事が再開されたが、いまだにカラーコーンはなくならない。

そのうえ、高崎で陥没事故が起きたと思ったら、また1カ所、16日の日曜日に県道を通ると、竹ノ渡戸の隣、香後地内で谷側のガードレールが大きくへこんだところがあった。

最初、交通事故かと思ったが、車がぶつかったにしてはへこみが激しい。山側のガードを越えて大きな落石があったとしたら、痕跡があるはずだが、よくわからない。

怖いのは、気象災害が年々苛酷になっていることだ。渓谷の「小事故」がやがて「大事故」につながる「前兆」ではないことを祈るばかりだ。

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