「こがねちゃん」が消えた。台所の軒下、地上70センチあたりに網を張り、やがて190センチほどのところに網ごと移動したコガネグモのことだ。
6月28日にこの引っ越し行動をブログに書いたら、翌29日、コガネグモはさらに東側の屋根の下に移動していた。
あまりに暑い日が続き、台所のガラス戸を開け閉めするようになると、網が緩んだり、元に戻ったりする。戸に網の一端をつないでいたためで、これでは「こがねちゃん」も居心地が悪い。
引っ越して何日もたたないのに、今度はガラス戸の影響を受けない軒先に引っ越しを余儀なくされた。
ところが、試練はそれで終わらなかった。再度引っ越した日の午後2時ごろ、猛烈なにわか雨に見舞われた。福島地方気象台の記録によると、いわき市平では2~3時台に計23.5ミリの雨が降った。
雨上がりに軒下の「こがねちゃん」を見ると、姿がない。翌日も、翌々日も見たが……。どこかに網を張っている様子はなかった。
それから何日かたって、カミサンから声がかかった。「こがねちゃん」が最初、網を張ったそばにパセリが植えてある。それを摘みに行ったら、異変に気付いた。「虫がいる!」
パセリ、虫――とくれば、キアゲハだ。急いでパセリを見ると、やはりキアゲハの幼虫だった=写真。
一昨年(2021年)の11月下旬、台所の軒下にパセリのポット苗を定植した。あまり手をかけなくても増えるというので、カミサンが重宝し、ときどき葉を摘んでは料理に使うようになった。
夏になると、花茎を40センチほどのばし、先端に小さな花をいっぱいつけた。すると、キアゲハの幼虫が卵からかえって葉を食べるようになった。それに気づいたのが、やはり去年の今ごろ。
そのとき、奇妙な動作に遭遇した。写真を撮るために、撮影の邪魔になる花茎をよけてカメラを近づけると、幼虫の頭部からニュルッとオレンジ色のツノが現れた。なんだ、これは?
すぐネットで調べ、さらに図書館からチョウの専門書を借りてきて読んだ。アゲハチョウ科の幼虫には、「臭角(しゅうかく)」という、通常は内部にしまわれている防衛器官がある。
身の危険が迫ったと感じたとき、このツノを内部から出して悪臭を発し、「敵」を遠ざけるのだという。つまりは、自分のそばまで接近してきた私の指に対して防御本能がはたらいたわけだ。
去年は、2匹の幼虫が葉を食べつくした。花も消えたから、あとは枯れるだけかもしれない。そんな思いがよぎったが、パセリはちゃんと生き残った。今年も立派に葉を茂らせた。
幼虫は最初、4匹だったのが、あとから順次かえったのか、計6匹になった。今は姿を消した「こがねちゃん」に代わって、キアゲハの幼虫を観察している。
大きいのは間もなく蛹になるとしても、まだ2センチほどの幼虫はどうなるか。蛹になる前にパセリの葉がなくなってしまわないか、少し心配だ。
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