2024年6月14日金曜日

まずい見本

                      
 野菜かごにキュウリが1本残っていた。買って来てから何日かたつ。キュウリの両端を切り落とすと、内側は水分が飛んで白くなっていた。

 これは漬けてもまずいな――。わかっていても、いちおうは糠床に入れてみる。一昼夜漬けて取り出し、いつものように斜めに切って器にそろえたが……。やはり内側は白いままだった=写真。

 採りたてのキュウリは、水分がたっぷり含まれているので、内側は淡い緑色をしている。

糠床に入れると塩分の浸透圧が作用し、キュウリから水分が抜けてしんなりする。抜けた水分の代わりに、糠床に含まれている酸味や風味がキュウリにしみ込む。それでいい味の糠漬けができる。

しかし、水分が飛んだキュウリではこの浸透圧がうまくはたらかない。結局、味なしと同じなので、食べてもまずい。捨てるのも何なので、醬油をかけて食べた。

キュウリは毎回、スーパーや直売所から3~4本入りを2袋買う。1袋分をすぐ糠床に入れる。夫婦プラス義弟の年寄り3人では、キュウリの糠漬けは一日1本で十分だ。

一昼夜漬けてパッケージに入れ、冷蔵庫で保管する。同時に、残しておいたキュウリは、カミサンがサラダなどに利用する。

水分が飛ぶ前に食べきってしまえば問題はない。しかし、野菜かごにキュウリが1本、忘れられたように残っているときがある。キュウリはすでに張りが失われ、中身も綿のように白くなっている。

そんなキュウリを「再生」する方法はないものか――。似たような経験をしている人が多いのだろう。ネットで検索すると、あった。

まずは炒める。水分が抜けているので、炒め物にはぴったり。シャキッと仕上がるのだとか。

生の状態ではどうか。二重にしたポリ袋に同量の水と氷を入れ、キュウリを浸して袋の口を閉じる。冷蔵庫に1時間ほどおくと、表面の細胞壁がかたくなり、キュウリ独特のパリッとした食感が戻る。

もっと簡単な方法はこうだ。しなびたキュウリを半分に切り、両端を切り落としたのを、水の入ったポリ袋に入れる。そのまま一晩、冷蔵庫の野菜室で寝かせる。これでシャキッとしたキュウリに戻る。

最後のやり方で、しかもポリ袋ではなく、小さなボウルに水を張り、そのままそこにキュウリを入れておくだけにした。

翌日にはしなびた感覚から張りのある感覚に戻っていた。それを糠床に一昼夜入れて取り出すと、味はそれなりにしみている。ただし、シャキッとしたところまではどうも、という感じだった。

まあ、なんとか食べられる、というところまでは「再生」できた。今回はしかし、まだ水分が残っていたからよかった。もっと水分が飛んだキュウリではどうか。

そのときもまた試そうと思う。いやいや、と別の自分がいう。キュウリはやはり水分が飛ぶ前に食べきってしまうのが一番。

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