早朝の5時過ぎ、玄関を開けて新聞を取り込む。ん? 泥落としマットに小さな鳥の巣が置いてある=写真。猫の「ゴン」のプレゼントか。
カミサンにそのことを話すと、まさか、ゴンではなくて次男が置いていったのでは、という。
次男は造園関係の仕事に就いている。住まいは別で、ときどき晩ごはんを食べに寄る。親が鳥の巣を集めているのを知っていて、剪定枝に鳥の古巣が残っていると持って来る
そうか、猫ではなくて人間か――。カミサンの勢いに押されて「猫のプレゼント」説をひっこめたが、どうもすっきりしない。
このごろは、夜8時には茶の間の明かりを消して寝室に移動する。次男もそんな時間には来ない。早ければ5時、遅くても7時前だ。
7時前には、まだ店(米屋)は開いている。閉まっていれば、裏に回って玄関から声をかける。その声はなかった。
その日の夜、カミサンが次男に連絡した。前の晩、鳥の巣を持って来た? いや、行ってない――。
想定とは真逆の答えにずっこけ、夫婦で大笑いをした。人間ではないとしたら、やっぱり猫か。
というのは、縁側の段ボール箱にいついたトラの「さくら猫」が、ときどき鳥や小動物を捕まえてきて、カミサンに見せるからだ。
カミサンはこの猫にゴンという名前を付けた。ゴンがわが家の庭に現れるようになってから、2年半はたつだろうか。
床下にネズミが棲(す)んでいた。あるとき、勝手口に目をやると、床下に逃げ込む小動物がいた。ネズミだった。
ゴンは先刻承知のようで、ときどき床下にもぐりこんでは、ネズミをくわえて庭に現れるようになった。
私は、ゴンには距離を置いていた。が、ネズミを退治するとわかってからは、逆にこちらから近づいた。すると、向こうも「ニャ~」と甘えながら、ズボンの裾にまとわりつくようになった。
おかげで、ネズミは姿を見せなくなった。その代わりなのだろうか、このごろはカナチョロ(カナヘビ)を捕まえ、玄関の近くへ持って来て、放してはかみ、放しては追いかけ、を繰り返しながら、結局、口に入れる。
家を留守にして帰ってきたときには、玄関の泥落としマットにヒヨドリの羽が落ちていた。庭でヒヨドリを捕まえ、マットまで持ってきて、そこで食事をしたのだろうか。
いずれにしても、カミサンは「キャーッ」となる。そのうえで、猫は飼い主に何かをプレゼントするような行動をとることがあるらしい。鳥の巣はもしかしたら、それだったのかもしれない。
動くものではない。カラスか何かに巣が襲われ、中のひなが消えた。巣も枝から落ちた。ゴンがそれをくわえてマットに置いた?
想像の域を出ない。マットに置いたのはゴンかどうかもわからない。しかし、そこまで風に吹き飛ばされてくることは、玄関の造りからしてありえない。
想像力をかきたてられる鳥の巣がひとつコレクションに加わった。そこにあった不思議をかみしめる。
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