2024年6月17日月曜日

夕方に造網し朝には撤収

                      
 このところワケがあって晩酌の量を半分にしている。ブログの下書きをつくりながら、チビリチビリ2時間近くやっていたのが、1時間で終えるようにした。

 年金生活者、というよりは年寄りの習性で、晩酌を始める時間が少しずつ早まってきた。

私が駆け出し記者のころ、職場に酒好きの大先輩がいた。記者経験はない。元は地元企業の広報担当で、定年退職後、「書く仕事」を続けるために再就職をした。

若いころは「文学青年」だったとかで、街で飲んだ勢いでお宅までついて行き、また飲み続けて泊まったこともある。

そんな付き合いのなかで知った習慣だ。年々、晩酌の時間が早くなっている。大相撲があると、休日は夕方の4時からテレビをつけて飲む――

それからおよそ半世紀。後期高齢者になった今は、大相撲があると、5時過ぎには晩酌を始める。

大先輩の顔を思い出しながら、焼酎をなめては原稿の下書きをつくったり、取り組みを見たり……。

ところが、相撲がなくても5時半になると、体が動く。自分でさっさと準備をすませて始める。夏至が近い今は、まだ明るい6時半には晩酌が終わる。

歯が弱ってきた自覚があるので、朝だけなく、夜も磨くようになった。冬場と違って、7時になっても外はほんのり明るい。

庭に出て歯を磨くと、時間が時間だけに少し不思議な感覚になる。そのなかで知った生きものの動きだ。

クモが空中に網を掛けていた。柿の木とフヨウの木だけでなく、そばの自動車にも支点を設けて、外側から中心へと時計回りに網をひり出しては、放射状に伸びた糸にくっつけていく。

歯ブラシを動かしたり、はずしたりしながら見続けること30分。中心近くまで網目が出来上がってきたとみるや、急に中心に陣取って動かなくなった。造網が完成したのだろう。

夜に網を張るのはオニグモにちがいない。しかも、朝になると張った網を撤収する。翌朝確かめると、網は消えていた。

ウィキペディアによれば、オニグモは大きな垂直の円網を張る。最初は比較的低いところに、成長するにしたがって高いところに網をかける。昼は網をたたんで物陰にひそんでいるのだとか。

3日ほど連続して、庭で晩酌後の歯磨きをしながら、オニグモの造網作業を観察した。

最初の2日間は、網は茶の間のある家の方角、つまり北向きにつくられた。といっても同じ所ではない。2日目は前日より1メートルほど家に寄っていた。3日目はそれから90度ずらして、西向きになっていた。

いやあ、毎日見ていてもあきることがない。日々、工夫して場所を替え、向きを変える。オニグモも考えているんだなぁ。

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