2024年6月21日金曜日

テレビでラジオ体操

                   
 たまたま正午前に昼食をとりながらテレビ(NHK)を見ていたら、体操の時間になった。

テレビ体操? 違う。聞き覚えのある音楽と手足の動かし方を指導するアナウンスが流れてきた。ラジオ体操第1だ。

 テレビでラジオ体操をやるのか! 食事を終えたカミサンがアナウンスに合わせて体操を始めた=写真。私も座ったまま上体を動かした。

 テレビの向こう側にはスポーツウェア姿の女性が3人いる。1人はいすに座っている。座っていてもできますよ、というサインだろう。

 足が衰えてずっと立っていられなくても、車いすを必要としていても、座ったままで上体を動かすことはできる。そんな思いが読み取れる。

 震災前に早朝と夕方、散歩をするのを日課にしていた。国道を横切り、夏井川の堤防に出て、ただただ風景をながめながら歩き続ける。

 朝は家を出るとほどなく6時半になる。すると近所の民家の玄関前で、老夫婦がラジオ体操をやっている。雨で散歩を休んだ日以外は、毎朝、目撃した。

 学校の夏休みには、少し離れたスーパーの駐車場で、やはり6時半から小学生が集まってラジオ体操をした。私らも小学校の夏休みのときには、小学校の校庭に集合してラジオ体操をした。

昔も今も同じ歌で始まる。「あたらしい朝がきた/希望の朝だ/……」。私らが子どものときは、ラジオで体操を指導するのは主に紅林(くればやし)武男という人だった。

「ラジオ体操の歌」だけではない。体操そのものも全く変わっていない。はやりすたりがない。これだけは75歳も、50歳も、15歳も一緒に体を動かすことができる。

別の言い方をすると、後期高齢者になっても、小学生のときに体を使って覚えた動きはすぐ思いだす。

地区の球技大会でも開会式のあとに、準備運動として参加者と役員がラジオ体操第1をやる。

急に体を動かすものだから、体操をしているうちに肩が重くなったり、足がグラグラしたりはする。が、できない人はまずいない。

早朝散歩で老夫婦のラジオ体操を目撃したころから、いずれラジオ体操だけが体を動かす最後の希望になるのでは――という予感を抱くようになった。

75歳を過ぎた今はまさにその通り、という思いが強い。それこそリハビリ体操としての一面もある。

実は、6時半になったらラジオをかけるか、なんてことをときどき考えるようになってはいた。

早朝の習慣として、ついテレビをつけてしまう。6時半になっても体を動かすことはしない。

テレビでも6時半からラジオ体操をやると、茶の間でも体を動かす年寄りが増えるのではないか。

ラジオ体操は、地域を超え、世代を超え、時代を超えて日本を一つにする最強のコンテンツ(番組)――そんなことを思いながら、しばし子ども時代に戻っていた。

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