2024年6月22日土曜日

ネギの種選り

                      
 夏井川渓谷の隠居の庭で三春ネギを栽培している。今年(2024年)のネギ苗はどうやら養生に失敗した。早春に追肥を怠った。草引きも手を抜いた。たぶんそのせいで育ちが悪い。

いつもだと5~6月には300本以上を定植する。ところが今年は、定植できるのは20~30本だろうか。

たとえば、2021年はこんな具合だった。立派に育って、一気に定植するには時間が足りない。

溝は4列。そこに35本。翌週30本。平日にも出かけて、結果的には5月末までに400本ほどを定植した。

それからが本番で、2020年の場合は300本ほどを植えたのに、ちゃんと育ったのは半分ほどだった。おおかたはネキリムシに食害された。

そのために、というわけではないが、苗床にもネギを残しておく。いい具合にすき間ができたら土を盛っていく。これも夏の食材になる。 

ネギの定植と収穫には目安がある。わが生活圏は夏井川下流の氾濫原だ。堤防沿いの畑では、砂質土壌を生かしてネギの栽培が行われている。

堤防を行き来しながら、河川敷の自然の移り行きを、人間が住んでいる堤内ではネギの畑の1年を観察する。

冬に収穫がすんでなにもなくなった畑に、6月になると溝ができて、ネギ苗が定植される。それを渓谷の隠居で行う「ネギ仕事」の参考にする。

最初は溝、やがて追肥と盛り土を繰り返して高いうねにする。晩秋から冬に収穫し、同時に採種用のネギを越冬させると、春にはネギ坊主ができる。

それとは別に10月10日ごろ、畳1枚分くらいの苗床に種をまく。越冬して春になると、この苗が育つ。

定植と採種がほぼ同時にくる。まずはネギ坊主を観察し、黒い種が見えるようになると一気に収穫する。

今年は6月9日にネギ坊主を切り取り、我が家へ持ち帰って、軒下で陰干しをしている。ときどき、ネギ坊主をたたいたり、もんだりしてやると、黒い種が下にたまる=写真。

ここから殻と砂やごみを取り除けばいい。とにかく6月中に種を確保して秋の種まき時期まで冷蔵庫にしまっておく。7月には持ち越さない。これだけを心がける。

ネギ坊主をカットした古いネギは、皮をむくと「分けつ」して新しいネギを抱えている。古いネギはすでに役目を終えているので、新しいネギから切り離して畑の土に返す。

新しいネギは溝に植え戻す。これが30本ほどあるだろうか。定植可能な苗と合わせれば、今年は50本程度しか栽培できない。

それでもいい。半分採種用に残せば、来年はまた種が確保できる。そうして調整しながらネギの栽培を続ける。

原発事故に負けてたまるか――。2011年以後、全面除染で表土がはぎとられたあとも、三春ネギの種だけは絶やさずにきた。「負けてたまるか」だけをエネルギーにして。

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