朝起きて茶の間のカーテンを開けたら……、また異変が起きていた。3月13日は霧、翌14日は猫だ。
縁側に猫のベッドがある。いつもは朝、キジトラの「ゴン」が丸くなっているのだが、14日は茶トラが眠っていた。初めて見る猫だ。なぜ、茶トラが?
縁側の端に小さなテーブルがあり、その上に「えじこ」(人間の乳幼児を座らせておくわら製の保育用具)が載っている。
3年ほど前、不妊・去勢手術を受けて耳にV字の切れ込みのある「さくらねこ」が庭に現れた。
カミサンがえさをやると次第に慣れて、縁側で休むようになった。ではと、カミサンが段ボール箱をベッドにすると、そこで一夜を明かすようになった。やがて「ゴン」という名がついた。
そのあと、よそから譲り受けたテーブルを縁側に据え、段ボールはその下に移して、えじこを新しい猫のベッドにした。えじこはもともと、家で猫を飼っていたときのベッドだった。
去年(2024年)春、ゴンのほかに黒白の「ハナクロ」が現れた。ゴンはすっかり私に慣れたが、ハナクロはいまだに私の姿を見ると、動きを止めて逃げる姿勢をとる。
それから1年、今度はどこの猫かは知らないが、茶トラがえじこで寝ていた。一瞬、震災時に飼っていた「チャー」(雄)を思い出した。
あの時、わが家にはチャーのほかに、同じ茶トラの若い雄「レン」と、太った雌の「サクラ」がいた。
チャーは老衰が進行していた。後ろ足を引きずり、排便もきちんとできなかった。私たち人間が避難している間に息絶えているのではないか。案じながら戻ると、ちゃんと自分で歩き、排便もできるようになっていた。奇跡的な回復力だった。
それから1年後、チャーの命は尽きた。レンとサクラは仲が良かったが、2015年の春にレンが、その5カ月後にサクラが死んだ。
さて、えじこはゴンのものであって、茶トラのベッドではない。ガラス戸を揺すると慌てて飛び降りた。
下にはちょうどハナクロがいた。ハナクロは茶トラにむかって低くうなり続ける。茶トラは振り返り気味にハナクロを見続ける=写真。
と、次の瞬間2匹が走り出し、壊れて放置された犬小屋と隣家のフェンスの間でだんごになった。
ひとしきりわめき声が響き、足をばたつかせたと思ったら、奥の方へと茶トラが逃げ去り、ハナクロもそれを追って庭から消えた。
茶トラのしっぽはやや長めで先端が折れ曲がっている。チャーの写真を見たら、やはりしっぽが長く、先端が折れ曲がっていた。
もしかしてチャーの子ども、いやその子ども、つまり孫? 亡霊のように突然現れた理由はむろんわからない。
ゴンはこの日、午後にはえじこで丸くなっていた。ベッドをのっとられたわけではない。「茶トラが来たら追い出して」。ゴンをかわいがっているカミサンは、珍しく語気を強めた。
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