2016年12月17日土曜日

木っ端の置物

 手のひらにのるペンギン親子が気に入った。木製の置物、今風にいえば木工クラフトだ。それはあげない、という。代わりにもらったのが、カバのようなハゼの親子の置物。
「お寺の『木鼻』を組み立てるので見に来たら」。連絡がきて、宮大工の豊間の仕事場へ行った話を前に書いた。

 宮大工自慢の「木鼻」を見たあと、「こんなものもつくってんだ」。見せてくれたのが、掌中(しょうちゅう)に収まる7センチ前後の木製の置物だ=写真。ペンギンやハゼの親子のほかに、恐竜親子、象のペア(一方の背中にハートがのっている)、ウサギなどがある。二つないし三つに分解できる。
 
 宮大工の「余技」といえばいえる。が、これを本業にしている木工クラフト作家もいる。大工職のすごいところは、家を建てるときにも、掌中に入るようなミニチュアを製作するときにも、手を抜かないことだろう。
 
 余った木っ端を使うというから、一種の廃物利用だ。そこに貫かれているのは、大工の棟梁としての誇り、木への愛着。と、書きつつ、作品はしかし、愛らしい動物だけではない。「秘すれば花」で書かないが、ひとり職人が自作をながめて悦に入る、同業がそれを見てうらやましがる、そういうたぐいの作品もある。
 

 動物クラフトは、値段は聞かなかったが売り物だ。震災後、豊間支援に訪れた人にはプレゼントしたという。「オレはもらってない」というと、「あれっ、やんなかったっけ?」。で、冒頭のようなやりとりになった。

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