2021年1月26日火曜日

車のほぐし方

                     
  1月24日の日曜日は、朝起きると、降ってはいないが地面が濡れていた。鉛色の雲が空を覆っている。雨模様だ。降ったりやんだりの一日になるのか――

日曜日は夏井川渓谷の隠居で過ごす。今は厳寒期、行ってもやることはない。天気も悪い。前の晩、「寒いから行きたくない」とカミサンが珍しくごねた。「では、文学館だけにするか」。いわき市立草野心平記念文学館で、土曜日(1月23日)から企画展「映画館の記憶――聚楽館をめぐって」が開かれている(3月28日まで)。それを見たら街へ戻って買い物をすることにした。

神谷~中塩~平窪と田んぼの中の道を行く。湯ノ岳~三大明神山~二ツ石山~鶴石山=写真、閼伽井岳~水石山、二ツ箭山がうっすらと雪化粧をしていた。冬から春先、南岸低気圧が東進すると、「サンシャインいわき」も雪に見舞われることがある。この冬2回目の“雪山”だ。

しかし、この雪は太陽が顔を出すとすぐ消える。その程度の薄化粧だが、東北というよりは北関東の気候帯、それも海に近い平地の人間には、どこか北国の山のように映る。

文学館は小高い丘の上にある。道路にも周りにも雪はなかった。街に戻って図書館へ行き、イトーヨーカドー平店へ寄った。

この大型店は2月28日で閉店する。各テナントが売り尽くしセールを繰り広げていた。店に併設している立体駐車場が込んでいたのはそのためだろう。いつもは2階か3階に止められるのだが、5階まで上がった。用をすませて車に戻り、エンジンをかけようとしたら……。差し込んだキーが動かない。ペダルも踏み込めない。

 10日ほど前にも駅前のラトブ地下駐車場で同じ“症状”がおきた。このときはどういうわけか、いったん外へ出てまた中に入ると、キーが回ってエンジンがかかった。それをヨーカドーでも試したが、ウンでもスーでもない。

 車のことならディーラーのTクンに聞くのが一番。この四半世紀、車の購入も車検もすべてTクンにまかせている。「車のホームドクター」だ。電話をすると、たまたま休日で家にいた。ヨーカドーまでは近い。すぐ向かうという。

 Tクンがやって来て運転席に乗り込み、キーと一緒にハンドルを動かすと、一発でエンジンがかかった。「ハンドルがロックされていた」という。

どういうこと? あとで検索してわかった。自動車の盗難を防ぐための仕組みで、キーを抜いたときにたまたまステアリングロック(ハンドルロック)の誤作動がおきた。要は、車がかたまってしまった。

そうなると、エンジンをかけるためにキーを差し込んでも動かない。それを解除するには、キーと一緒にハンドルを左右に動かすことだという。なるほど。ドアをいくら開け閉めしてもキーは動かないはずだ。

ラトブでもヨーカドーでも駐車の仕方には癖が出る。3台止まれるスペースがあれば、柱のすぐ近くに止める。そのとき、タイヤが真っすぐになっていないことが多い。そういう運転習性も関係するのだろう。

硬直した車のほぐし方を実地に学んだ、というよりは無知すぎた。街なかだからまだよかったものの、渓谷の隠居で同じ“症状”になったら、連絡することさえためらわれる。

師走に車検を受けたが、Tクンからは「そろそろですね」ともいわれている。車も人も年を取ったか。

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