2021年1月7日木曜日

図書館の存在意義が問われる

                     
 もうガマンができない。どういうことなのか、説明さえない。いわき市立図書館のホームページに「郷土資料のページ」がある。そのなかの「新聞」コーナーがおかしい。「公益」と市民の「知る権利」を損ねる問題だという自覚が、図書館にあるのかどうか。

 年末に見たら、「いわき民報(昭和21年~昭和56年)」と「常磐毎日新聞(昭和27年~昭和43年)が「工事中」になっていた。それが今は消えている。

 平成25(2013)年3月1日。「郷土資料のページ」で明治~昭和期に発行された地域新聞18紙が電子化されて読めるようになった。明治40(1907)年、いわきで最初に発行された民間新聞「いはき」がある。戦後の昭和21(1946)年から今も発行が続くいわき民報がある。郷土の歴史や文化を調べている人間にとっては、願ってもない情報提供サービスだった。

 さらに、同30(2018)年11月1日。このページが18紙から倍の36紙に拡充された=写真上(下から3段目左端にいわき民報、同じく下から2段目の左から2番目に常磐毎日新聞がある)。いよいよ調べが便利になると喜んだ。

 特に、いわき民報はいわきの戦後史そのものを記録しているといってよい。しょっちゅう閲覧してきた。それが読めなくなった=写真下(いわき民報と常磐毎日新聞が削除されたあとの、今の画面)。この10日間ほど、調べができないストレスが高じている。

市長が年頭の記者会見で「市内の文化関連施設の収蔵品や文化財をインターネットで紹介するデジタルミュージアム」整備構想を打ち出した。きのう(1月6日)、新聞で知った。素晴らしい構想だが、現実はどうか。足元の「デジタル図書館」がぐらついている。

 実は去年(2020年)の暮れ、いわき民報のコラム・片隅抄に「市内公共機関の記録公開コーナーが目下、閲覧できない状況。関連するある不都合が生じたと聞く」とあって、「おやっ」と思った。それが始まりだった。「不都合」を報じて、図書館の役割・存在意義をあらためて問うべきなのに、その後の報道がない。

 私も長く記者をやっていたので、「不都合」の想像はつく。現役のころはたびたび記事へのクレームを受けた。だからといって、記事を取り消すことはなかった。図書館はしかし、1本の木を切るのに森の木を全部切ってしまった、角を矯(た)めて牛を殺してしまった――と批判されてもしかたがないのではないか。

「名誉毀損(きそん)、著作権等のある資料の取扱いについて」と題する国立国会図書館の指針がある。それによると、①所蔵資料はすべて受け入れ状態のまま保存して利用に供する②利用に供した資料の廃棄・回収などには応じない③資料の利用停止などの措置も原則として行わない――。

 ただし、「一定の理由がある場合」として、発行者・著作者のほかに、直接の利害関係者からの申し出に基づき、「厳格な手続きのもとで、例外的に資料利用制限措置を採る」ことがある、資料利用制限措置には、「資料全体に対して利用の全部を制限する場合(利用禁止)と、資料の一部又は利用の一部に限って制限し、または、許可を得ることを条件とする場合(条件付利用)」がある、としている。

 いわきの図書館はそこまで考えて2紙の「利用制限」をしたのだろうか。その説明と、一日も早い復活を。

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

タカじい様
郷土資料のページの検索欄で"紙名 昭和28"(数字は半角英数)などと検索すると
いわき民報、常磐毎日新聞の消えたページを探すことができるようです。

タカじい さんのコメント...

ありがとうございました。やってみました。「いわき民報 昭和23年」と、紙名と昭和の間を半角開け、年の数字も半角で入力すると、昭和23年の月ごとのいわき民報が出てきました。前より面倒ですが、とりあえずアクセスができるようになってホッとしています。でも、やはり一覧からササッといきたいですね。