8月最初の日曜日だったか、夏井川渓谷の隠居へ行くのに、平地の小川町下小川地内の国道399号(兼県道小野四倉線)を通ると、道沿いの農家の門口に梨の「幸水」を販売しているという札が立っていた。
「おっ、もう梨の季節になったか」。「いわき梨」の出荷は、覚えている限り8月後半だ。早い直売の理由は想像がつく。好天だ。
梅雨を含めて雨が少ないと、実は小ぶりだが糖度は増す。今年(2023年)は雨が少なかったうえに、春先も、夏も気温が高く推移した。当然、8月上旬に梨の直売が始まっても驚かない。
梨生産農家だった作家吉野せいの短編集『洟をたらした神』の注釈づくりをしているうちに、自然といわき梨への興味・関心が深まった。
ちょうどそのころ、拙ブログのパソコン画面のわきに表示される「人気のある投稿」欄のトップに、突然、2021年9月21日付「梨のコイン自販機」が登場した。
新聞でいうと2年前は「過去の記事」だが、ネットでは「知りたい情報」が「新しい情報」になる。時間の古さ・新しさは関係がない。アナログとデジタルの違いだ。
おそらく「いわき、梨、出荷(あるいは直売)」といったキーワードで検索する人が増えて、拙ブログにたどり着いたのだろう。そのブログの中身は次のようなものだった(要約)。
――夏井川渓谷の隠居へ行くのに、上平窪(平)の坂を越えて下小川(小川町)に下ると、道路沿いに農家の庭先直売所がある。近年はその先、同じ道路沿いの関場に梨のコイン販売機がお目見えした。
庭先直売所はたまに利用する。コイン販売機はまだだ。隠居で土いじりをした帰り、初めて販売機から梨を買うことにした。
ちょうど午後3時ごろだった。いつもその時間に補充するのかどうか、奥の家から若い女性が袋詰めの梨を運んできた。
カミサンが販売機からではなく、直接、女性から梨を買った。今は「豊水」が出回っている。4個で300円だった。名前の通り、水分がたっぷり含まれていた。(このあと、吉野せいと梨の関係について書いているのだが、ここでは省略する)――。
今年(2023年)も先日、いわき梨の共同出荷が始まった。報道によると、雨が少なくて気温が高めに推移したため、開花が早まり、小粒ながら甘い梨ができた。例年より10日ほど出荷が早かったという。
するとほどなく、知人から「幸水」1箱をいただいた。さっそく食卓に上った。さっぱりしたみずみずしさだ。昔は「長十郎」が主流だった記憶があるが、今は「幸水」、そして「豊水」、そのあと「涼豊」「新高」と続く。
カミサンが皮をむき、細かく割ったのを冷たくしようと、ちょっと冷凍庫に置いたら、表面が凍っていた=写真。
これを口にするとひんやりしていて、シャリシャリする。「梨のシャーベット」だ。この厳しい残暑の中、こういう食べ方もありだなと思った。以来、カミサンに頼んで、ときどき梨のシャーベットを食べている。
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