土曜日(7月29日)の「報道特集」は「“ナラ枯れ”の危険」と「現代美術家と被災地の絆」だった。
後者はいわき市が舞台のイベント(昼花火)、前者は取材地の神奈川県だけでなく、いわきの森林でも起きている問題なので、じっくり見た。
現代美術家とは、中国出身の蔡國強(1957年~)さん。けた外れの爆発力と、宇宙につながるようなスケールの大きい花火アートで世界的に知られる。
今はニューヨークに住むが、若いころはいわきのギャラリーを介して、いわき市民と交流した。いわきは、いわば「第二の故郷」だ。
国立新美術館(東京)で蔡さんの個展「宇宙遊―<原初の火球>から始まる」が開かれている。
それに先立つイベントとして、6月26日、四倉海岸で昼花火が打ち上げられた。イベントには蔡さんのいわきの仲間が協力した。その絆を伝える。
そしてもう一つ、ナラ枯れ。相模原市のキャンプ場である日、高さ18メートルの木が突然、根元から折れ、テントを直撃した。中にいた妻が窒息死し、夫が重傷を負う。倒木がバイクを直撃する事故も起きた。
そこから、専門家(京都府森林技術センター主任研究員)の動きを追い、都会でもナラ枯れの危険性が増してきたことを訴える。
いわきと共通する問題は、ナラ枯れ被害に遭った木の落枝・倒木だ。いわきのナラ枯れ木を思い浮かべながら番組を見た。拙ブログから、平地から夏井川渓谷あたりの被害例を紹介する。
私が初めてナラ枯れに気づいたのは、令和2(2020)年の月遅れ盆のころ。夏井川渓谷の隠居へ向かっていると、左岸・塩田の森が「茶髪」になっていた。
犯人は体長5ミリほどの小さな昆虫・カシノナガキクイムシ(カシナガ)だ。大径木のコナラなどに穿入(せんにゅう)し、雌が産卵する。その結果、木は穴だらけになって通水機能を失い、あっという間に枯死する。
カシナガの幼虫は孔道内で成長・越冬し、翌年6~8月、新成虫として一帯に散らばるので、被害もまた拡大する。
福島県いわき農林事務所などによると、いわきでは平成30(2018)年、田人地区ほかでコナラなど50本のナラ枯れが初めて確認された。
その後は勿来・大久・小川などの中山間地だけでなく、平地の平・内郷・錦といった街中でも被害が相次いだ。
夏井川渓谷では、今では牛小川辺りまで茶髪が見られる。渓谷の県道沿いの大木も被害に遭った。路上への落枝・倒木が懸念される木も何本かある。
去年(2022年)は、ロックシェッドを過ぎて、カラーコーンが置かれているあたり、ワイヤネットが張られた山側からせりだしている大木が茶髪になった。樹幹はほぼ道路の真上にある。倒木の危険性がはっきりしているので、暮れには伐採された。
ロックシェッドの手前、谷側のナラ枯れ木は幹にキノコが生えている=写真。かなり腐朽が進んだようだ。そしてまた今年、あちこちで茶髪が目立つようになった。
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