初夏にキュウリのポット苗を買って、夏井川渓谷の隠居の畑に定植するのを恒例にしてきた。キュウリは主に糠漬けにする。
5年前(2018年)にはこんな具合だった。――ゴールデンウイーク中にポット苗を二つ定植した。7月上旬に初めて3本を収穫すると、カミサンが「初物だから」と床の間に飾った。
それからは週2回のペースで収穫した。そのたびにキュウリの株の根元に水をやった。キュウリは乾燥に弱い。ナスや里芋もそうだ。うねの乾燥を防ぐために敷き草もした。
そうして潅水と収穫を兼ねて、行くたびに8本前後を摘んだ。9月に入るとさすがに葉が疲れてきたが、それでも花を咲かせた。
9月中旬の日曜日に見ると、曲がったり、先端だけ肥大したりしたものが5本ぶら下がっていた。いよいよこれで株の元気が尽きた、「終わり初物」(最後の収穫)にした――。
実が生(な)り出すと、お福分けもあちこちから届く。大量に手に入ったときには、糠床とは別に、ホーローのキッチンポットに塩を振り、重しをのせて古漬けにした。
去年(2022年)の古漬けがまだ残っている。6月から2カ月ほどはお福分けが続く(と予想される)ことから、今年はキュウリの栽培を見合わせた。
直売所とスーパーからキュウリを買い、合間に届くお福分けを加えて、糠漬けやサラダにする。それでこの夏、キュウリには事欠かなかった。
キュウリは、97%が水分でできている。漬かりやすくするために両先端を切ると、断面が緑っぽくてみずみずしい。
ところが、しばらく野菜かごに置いていて、同じように切って断面を見ると、水分が飛んで綿のように白くなっている。こうなったら、食べてもおいしくない。味もしみこまないので、切り捨てるしかなくなる。
買ったら(届いたら)一気に漬け込む、水分を保っているうちに――。自分で栽培し、糠漬けにして、失敗から学んだ経験則だ。猛暑が教えてくれた知恵でもある。
8月初めまで相次いだお福分けが収まったので、月遅れ盆の前後から、キュウリを買って漬けるようになった。
このキュウリの中に、「ん?」という代物が入っている。糠床に入れるため、先端をカットしたら、既に乾いて白くなっているものがあった。漬けたのを取り出したが、やはり白いものは白いままだった=写真。
家庭菜園だと収穫したらすぐ消費されるが、プロの農家はそうはいかないのだろう。決まった時間、流通経路がある。しかも、この猛烈な暑さだ。なかには水分が飛んで白く乾燥してしまうものが出てくる。
結局、「安物買い」のなんとやらになってしまう。夏の露地キュウリも今は端境期らしい。
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