2023年9月14日木曜日

河口が抜けた

                      
 日曜日(9月10日)の夕方、いつもの魚屋さんへカツオの刺し身を買いに行くと、前々日の大雨の話になった。

 次々に雨をもたらす「線状降水帯」が発生し、しかも夜が更けるにつれて雨量が増した。それで主に内郷の宮川、新川流域で家屋の浸水被害が相次いだ。

金曜日から土曜日に日付が変わるころ、本川・夏井川の鎌田(平)、中神谷(同)の水位が6メートルを超えた。

河川の水位には平常水防団待機氾濫注意避難判断氾濫危険の5段階がある。「氾濫注意」水位を超えたところで水位が落ち着き、やがて低下に転じたために、やっとノートパソコンのふたを閉めた。

ライブカメラで小川町や平窪、鎌田の夏井川の様子もたびたび確かめた。鎌田は平神橋の橋脚の上部がかすかにのぞいている程度まで水位が上がっていた。

そんな不安な一夜の記憶をお互い振り返ったあとに、若だんなが付け足した。「朝、犬を連れて散歩に行ったら、夏井川の河口が抜けていました」。それは「事件」だ。

家に帰って、河口のライブカメラをのぞくと、磐城舞子橋の端から端まで水が流れ、太平洋と直結している。翌11日も水の勢いは変わらなかった=写真。

ふだんはあらかた「砂の壁」に覆われているのだが、河口らしい風景に変貌している。翌日、河口を見に行った。やはり、水の勢いは続いていた。せいせいするくらいに川幅が広かった。

前にも拙ブログで何度か夏井川河口の閉塞(へいそく)問題について書いている。それを引用する。

――同川の最後の支流は仁井田川。平成18(2006)年秋、仁井田川が台風と風浪で太平洋と直結し、夏井川の河口が閉塞した。

両川の間は横川でつながっている。同23(2011)年3月、東日本大震災による地盤沈下と津波の影響を受けて、夏井川河口の閉塞と横川への逆流が常態化した。

河口を開こうと、震災前から手が打たれてはきた。同20(2008)年には夏井川と横川との合流部に“石のダム”ができた。しかし、それでも逆流はとまらなかった。

震災後は、本流の堤防のかさ上げが行われた。仁井田川河口では東舞子橋が架け替えられた。

次は横川。“石のダム”の代わりに鉄とコンクリートの水門ができる。同時に、横川の築堤・護岸、夏井川左岸河口部の築堤・護岸工事も行われる。

夏井川河口の閉塞とそれに伴う横川右岸域の浸水問題は、記録で知るかぎり100年に及ぶ――。

夏井川は流路が67キロと短く、川としての力も弱い。横川の水門は仁井田川への逆流を防ぐものだが、工事中とはいえ、それが、河口がじかに抜ける要因になったようだ。遠くからみてもそれらしい形になってきたのがわかる。

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