2023年9月12日火曜日

「21世紀の雨」の怖さ

                     

9月8~9日の大雨は、本川(鮫川や夏井川)よりも、平地の山際の支川などで避難指示が出されたり、越水したりして大きな被害をもたらした。

いわき市によると、家屋被害は内郷地区を中心に全壊1棟、床上浸水1151棟、床下浸水227棟に及んだ(11日午前10時現在)。

 熱帯低気圧に変わった台風13号の影響で、千葉・茨城・福島(浜通り)に線状降水帯が発生したのが原因だった。

 「線状降水帯」という言葉は、20世紀には聞いたことがなかった。「21世紀の雨」といってもいい。ネットで用語の定義や解説をチェックした。

まずは気象庁の定義から。次々と発生する、発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することでつくりだされる、線状に伸びる長さ50~300キロ程度、幅20~50キロ程度の強い降水帯を伴う雨域、のことだという。

同庁が1995~2009年の集中豪雨を解析した結果、台風を除く261例中168例、つまり約3分の2で線状の降水域が確認された。

で、2014年8月に広島県で発生した集中豪雨から、「線状降水帯」という言葉が使われるようになったという。

前々からあった気象現象だが、観測体制が充実し、データ分析手法が高度化したことで、発生報告が増えたとされる。

しかし、発生そのものが増えているとしたら、それは地球温暖化による海水温の上昇に伴う水蒸気量の増加と、気温の上昇による飽和水蒸気量の増加が要因とも考えられる、という。

そうしたことを頭に置きながら、9月10日の日曜日は、いつものように夏井川渓谷の隠居へ出かけた。途中、水田や道路などがどうなっているか、チェックしながら車を走らせた。

平窪地区では、小川江筋沿いの道路の土手が何カ所かで崩れていた。小川町・高崎では、先に県道小野四倉線が陥没し、8月28日から9月9日までの13日間の予定で補修工事が行われたはずだが、9月に入って雨が降ったため、15日まで延期になっていた。

渓谷に入ると、道路がところどころ泥まみれになっていた。ブルドーザーで泥を路肩にかき出した跡もある。重機が出て、盛んに土砂を除去しているところがあった=写真。

県道は、雨量が120ミリを超えると交通止めになる――。そんな看板が高崎地内に立っている。このため、高崎~五味沢(川前)間が一時、通行止めになった。9日午前7時半に通行止めが解除されたのをネットで確認して、翌10日に隠居へ出かけたのだった。

倒木は磐越東線の上小川トンネル・磐城高崎街道踏切の近くで1本、それ以外はこれといった異変はなかった。

風より雨。ただただいくつもの沢が滝のように雨を集め、土砂を道路に吐き出し続けたのだろう。

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