2023年9月11日月曜日

キュウリに巣食う虫

        
  夏井川渓谷は「虫の王国」だ。渓谷の隠居で家庭菜園を始めてから四半世紀がたつ。野菜の栽培史は、虫による食害史でもある。そのくらい虫は野菜にたかる、たかる。今も事情は変わらない。

たとえば、秋まきの三春ネギ。越冬した苗が伸び始めると、3~5ミリほどの黒い虫が取りつく。この虫は次から次に現れる。そのつど取り除く。気づいてからほぼ1カ月半、プチッとやった数が100匹や200匹ではきかないときもあった。

定植すると、今度は根切り虫が現れる。これはちょっと強敵だ。根切り虫は西日本ではカブラヤガが多く、東日本ではタマナヤガが多いという。

ネギ溝の土中にひそんで、夜間、株元を切り倒す。ネギが切り倒されていたら、株元の土を指で掘り起こす。だいたい体長2~3センチの虫が丸まって出てくる。

それをプチッとやる怠ると、次々にネギが切り倒される。週末だけの「お出かけ菜園」では、この被害がばかにならない。3分の1以上をやられた年もあった。

去年(2022年)はなぜか小さなカタツムリが葉に取り付いていた。ネットで検索すると、ウスカワマイマイ、ないしは外来種のオナジマイマイらしいことがわかった。これも野菜にとっては加害者になる。

初夏に時期を遅らせて二十日大根とカブの種をまいたことがある。順調に芽が出たと喜んだのも、つかの間。

体長が7ミリ前後のカメムシの仲間(ヒメナガメ)が葉にとりつき、カブラハバチの黒い幼虫も現れた。ともに葉を食害する。6月の終わりには、二十日大根の葉も、カブの葉も消え、筋がとろけかかっていた。

カブラハバチの幼虫は手を近づけると、ポロッと地面に落ちる。そのままにしておいたら、葉に戻って食害を続ける。

キュウリはどうだったか。葉をかじるウリハムシがやって来る、あるいはアザミウマが葉の一部を白くする、といったことはあったが、果実そのものに被害が及ぶことはなかった。

今年はキュウリの栽培を見合わせた。直売所とスーパーからキュウリを買い、合間に届くお福分けを加えて、糠漬け=写真=やサラダにする。それでこの夏、キュウリには事欠かなかった。

が……。収穫のピークを過ぎた月遅れ盆のあたりから、お福分けにも、直売所とスーパーから買ったものにも、異変が見られるようになった。

キュウリの両端をカットして糠床に入れ、半日たって取り出すと、切断面に小さな穴が開いている。ある時は黄土色の虫が体を半分のぞかせていた。

なんだ、これは! ネットで検索すると、どうやらキュウリに卵を産み付けるタバコガ類(タバコガ、ないしオオタバコガ)の幼虫らしい。その後も同じ症状のキュウリが見られた。

西日本で高温・少雨・乾燥の猛暑になった年、オオタバコガが多く発生した。しかも、この虫は温暖化で分布域を北へと広げている、とネットにあった。今年、いわき地方は7、8月と酷暑になった。それでオオタバコガが大発生したか。

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