8月も暑い日が続いた。庭の柿の木で鳴くのは主にミンミンゼミだったが、8月25日あたりを境に鳴き声がやんだ。時折、ツクツクホウシの鳴き声が響いたが、これも弱々しかった。
ちょうどそのころから、夜になると「リーリーリー」という虫の声が庭の方から聞こえてくるようになった。朝には死んで畳に横たわっているものもある。アオマツムシだ。
拙ブログで確かめると、早いときには月遅れ盆が終わったあたりから鳴き出す。ところが今年(2023年)は記録的な猛暑で、8月8日の「立秋」後も気温は高めに推移した。夜も25度以上の「熱帯夜」が続いた。この影響か、アオマツムシの初鳴きは例年よりずれこんだ。
アオマツムシは、街路樹などで爆発的に増殖している外来種、と前に聞いた。ウィキペディアにはしかし、外来種という説が一般的だが、原産地ははっきりしない、とある。
2008年2月下旬にブログを始めた。虫の鳴く秋になって初めてアオマツムシに触れたのは、2010年9月3日だった。そのときのブログを要約・再掲する。
――8月30日あたりから、アオマツムシが夜の庭でうるさく鳴き交わすようになった。草むらからわいてくるのではなく、木の上から降ってくるのだ。鳴き声が大きい。「リーリーリー」が「ギーギーギー」に聞こえる。
朝から戸を開け放し、扇風機をかけっぱなしにして過ごしたあと、宵の晩酌タイムを迎える。茶の間でちびりちびりやり始めると、ほどなく庭で「ギーギーギー」が始まる。エンマコオロギのような繊細さはない。うるさいくらいだ。
そのエンマコオロギだが、わが家では月遅れ盆の前に初鳴きを聞いた。澄んだ音色が耳に心地よかった。「コロロロロー」。アオマツムシに比べたら控え目でやさしい歌い方だ。
アオマツムシは、平地の街路樹という街路樹にすみついて、「ギーギーギー」とうたっている。
9月1日には茶の間に飛び込んできた。次の夜も現れた。猛暑続きに体内の何かが失調したか。室内に現れたのは初めてだった――。
13年前と今とでは、何が変わったか。真っ先に思い浮かぶのは、人間が夜、街へ飲みに行かなくなったことだ。
ほかは大震災を経験しても、変わらない。家は「大規模半壊」に近い状態になったが、一部を修繕しただけで、そのまま住んでいる。庭の柿の木も、扇風機をかけっぱなしにしているのも同じだ。
いや、ひとつ、家の中でも変わったことがあった。晩酌時間が早まり、それに合わせて就寝時間も早くなった。
昼も夜も、虫たちが茶の間にやって来ることには変わりがない。初秋のアオマツムシも、毎年、茶の間に飛び込んで来るようになった。
「飛んで火にいる」ように、アオマツムシが蛍光灯に飛び込んで来る。ひもに止まったところをパチリとやった=写真。データを拡大すると、背中に褐色の模様がある。雄だった。今は庭だけでなく、茶の間でも鳴いて、息絶える。
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