2023年9月22日金曜日

ポポーの実

                    
   後輩がポポー(ポーポー、ポポ)の実を持ってきた。さっそくカミサンが二つに割って夜の食卓に出した=写真。ねっとりした濃密な甘さが口中に広がった。

あとで自分のブログを読んで、5年前に初めて食べたときの記憶がよみがえった。それを要約・引用する。

――友人からポポーの実をもらった。常磐の知人の家の庭にあるポポーが、台風の影響で落果した。そのお福分けだという。見た目は、黄色いアケビ。香りは、かなり強い。

 ポポーは、春に腐肉臭のする紫色の花をつけ、秋に黄緑色の薄い外果皮をもつ果実をつける。

完熟すると木から自然に落ちる。それから数日後、香りが強くなったときが食べごろだそうだ。

果肉はやわらかく、甘い。外観がアケビ、種が柿に似るため「アケビガキ」とも呼ばれる、とネットにあった。

何日か冷蔵庫に入れて“追塾”し、果皮が黒ずんできたところで、皮をはがしてがぶりとやった。確かにやわらかい。甘い。種は? これもいわれるように柿の実のかたちをしているが、それよりは大きくて厚い。

味の表現には迷う。真っ先に「ソフトクリーム」を連想した。味というよりは舌触り、これが最初に脳を刺激した。ネットには「マスクメロン」、あるいは「森のカスタードクリーム」といった比喩が並ぶ。

後日、やはりポポーのお福分けがあった。前のポポーと違って、緑がかっている。前は卵型、今回は細長いムラサキアケビ型だ。大きさが違う。ポポーにもいろいろ種類があるのだろうか。

手に取るとすでに熟しているのか、やわらかい。すぐ皮をむいて食べた。甘い。が、前のときよりはあっさりしている。追熟すればもっと濃い味になるのか、それともそういう味の品種なのか。

ポポーは見るのも食べるのも初めてだった。が、庭木としてはけっこう知られているらしい。カミサンの実家にも、昔、ポポーの木があったという――。

 付け足すことはない。が、新たに情報を探ると、ポポーは北アメリカ原産、耐寒性が強く、日本国内ではほとんどの地域で栽培が可能、とあった。

 すでに明治時代には栽培が始まり、1940年代まではポピュラーな果樹だったとか。カミサンの家のポポーは、その意味では時代の名残のようなものだったのだろう。

 姿を消したのは、日本人の舌が多様化したためということのようだが、最近また復活しつつあるのも、もしかしたら同じ理由からかもしれない。

若い人を中心に、ケーキやプリンなどの甘い菓子が好まれるようになった。スイーツとか、パティシエとかいった言葉も子どもの間では普通に使われる。

高齢者には懐かしい果実でも、若い人には新しい果実と受け止められているとしたら、それもまた時代のなせるワザだろう。

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