2023年12月15日金曜日

続・冬の庭

                      
   きのう(12月14日)の続き――。夏井川渓谷の隠居の庭にカエデの木がある。その根元から生えた細い枝先に、ウスタビガの黄緑色の繭(まゆ)があった=写真上1。

いつものように写真を撮り、枝ごと回収して「空き巣」コレクションに加えることにした。

初めてわかったのだが、繭は極細の糸で枝・葉柄とつながっている。その精緻さから、枝は釣り竿(ざお)に、繭は提灯(ちょうちん)に見えてきた。

まずは外観から。繭は長径3.9センチ、短径が2.5センチ。上端は閉じて水平、中央部が膨らんだ紡錘(すい)形で、下端には穴が開いている。穴は中に入った雨の吐き出し口なのだとか。

ウスタビガといっても、私は生態や形態を知らない。初冬に風変わりな緑色の空繭と出合い、ネットで調べてウスタビガの幼虫が“施工者”とわかっただけだ。

今回もネットでウスタビガのあれこれを知った。それによると、卵のまま越冬し、4月ごろに孵化する。6月中旬には繭をつくって蛹(さなぎ)になり、10~11月ごろに繭の上端から出て成虫として活動する。

幼虫の食草はクヌギやコナラ、サクラ、カエデ類などだという。なるほど、カエデの葉を食べて大きくなり、やがて幹を伝って根元まで下り、地面すれすれに生え出た枝先に繭をつるしたのだとすると、納得がいく。

その際、どんな手順で繭をつくったのだろうか。枝先には1枚の葉があった。その葉は枝から離れ、ちりちりに枯れながらも繭をつるす糸とくっついている。

カエデを含む落葉樹は、秋、葉柄の根元と枝の境目に離層ができて、葉柄ごと枝から葉が離れる。

葉柄が枝から離れたあとも、葉は落下することなく繭の付属物のように残ったままになっているのは、幼虫が繭を支える糸と葉柄を“のり付け”したからだ。

それも頭に入れて、枝と繭とのつながりがわかるように糸を緩めて画像を拡大した=写真上2。

ウスタビガの幼虫は口から糸を吐き、枝に2カ所、そして枝からのびた葉柄に糸を“のり付け”し、糸を「命綱」にして繭を編んでいったのではないだろうか。

枝の先端から伸びたカエデの青葉は、夏、繭を保護する役目をはたしていたのかもしれない。

さて、繭のつくり方だが、上部からつくったのか、それとも下部からなのか、よくわからないので、チャットGPTの検索エンジン「ビング」に聞いてみた。

困ったことに、「下部からか」と問えば「上から下へ」、「上部からか」と聞くと「下部からつくっていく」と答える。

日曜日に隠居へ行くと、ラジオ(NHKの第一放送)をかける。昼前は「子ども科学電話相談」をやっている。そこに電話をかけたくなるような応答ではあった。

0 件のコメント: