2023年12月4日月曜日

師走に入った

                     
   庭のツワブキが花茎をスーッと一本のばして花を付けた=写真。小さなハナアブもやって来た=写真。これも師走の一点景ではある。

月の初めには区内会の役員と担当班長さんに市の回覧資料を届ける。が、今回は1日の午前中に「仕事」が入った。

その前日、11月30日の午後には義弟が退院する。車で迎えに行かないといけない。アッシー君と仕事の合間に片付けてしまわないと、というわけで、一日早く30日午前中に回覧資料を配った。

師走初日の仕事とは、シルバーサークルで1時間ちょっと話をすることだった。「ニュー碧空の会」といって、ほぼ月に2回、いわき市文化センターを会場に例会を開いている。

受講者はおおむね25人。圧倒的に女性が多い。そのなかに何人か知り合いがいる。一緒にラジオ体操をしてから、マイクを握った。

令和5年度の事業計画によると、体操や座学、マジックなどを楽しむ。私の場合は「文学の話」として予定が組まれた。

自分のブログで確かめると、最初は令和3(2021)年10月だった。「吉野せいの『洟をたらした神』を読み解く」をテーマにした。

いわき地域学會の市民講座と同じ感覚でボリュームたっぷりのレジュメを用意し、あらかじめコピーしてもらった。

すると、そこまではしなくてもいいというので、2回目のレジュメはペラ1枚、今回もA3判1枚(A4判2枚分)にとどめた。要するに、「講義」というよりは肩の凝らない「お話」でいい、ということだった。

前回は「いわきの新聞の歴史」を取り上げた。今回はいわきの「文学の話」に戻って、「草野心平とセドガロほか」という題にした。

セドガロは夏井川の支流、江田川の渓谷のことである。この渓谷が戦後、一般に知られるようになったいきさつを、資料に基づいて話した。

草野心平記念文学館発行の「常設展示図録」の年譜には「昭和21年9月/上小川村江田の渓谷『セドガロ』を『背戸峨廊』と命名、点在する滝や沢に「三連滝」や「猿の廊下」などとそれぞれの名を付ける」とある。

心平の初入渓は「昭和21年9月」ではなく翌22年の10月、「セドガロ」は心平が命名したのではなく、すでに村人が呼んでいた名前に心平が「背戸峨廊」と漢字を当てた――。

詳しくは避けるが、心平のいとこの草野悟郎著『父の新庄節』や昭和22年10、11月のいわき民報その他から、以上のことが裏付けられる、という話をした。

江田川と加路川は山をはさんで夏井川の左岸に合流する。国道399号沿い、加路川流域(横川・内倉)の住民は山の陰の江田川を「セドガロ」と呼んでいた。漢字を当てれば「背戸加路」、つまり「表の加路川」に対して「裏の加路川」。

そのセドガロに江田青年会や二箭会(小川の有志の集まり)のメンバーとともに、心平が入渓し、滝や淵に名前を付けた。

呼び名もいつか「セトガロウ」に変化したが、今は「セドガロ」に戻りつつある、という話もした。実はここが一番のポイントだったといってもいい。

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