2023年12月1日金曜日

足の筋肉

                     
 この1カ月半はだいたい2日にいっぺん、義弟の見舞いに鹿島の病院へ通った。行きは国道6号(旧バイパス)、帰りは海岸寄りの道路を利用した。往復、というよりコースを一周すると33キロになる。

 国道6号はいわきで一番の幹線道路だ。さいわい事故で渋滞に巻き込まれるようなことはなかったが、一度、何かの作業に出くわした。

 片側2車線のうち、走行車線がほんの数メートル通れなくなっただけで、たちまち長い車列ができた=写真。

それはともかく、病院通いは11月30日で終わった。この日、義弟が退院した。

 自宅で転んで背骨を圧迫骨折した。入院中は寝たきりになるので、リハビリを続けても補助器具なしでは歩けないかもしれない――。本人も「足に力が入らない」と言っていたので、一時は最悪の事態を覚悟した。

 義弟はわが家の隣に住む。食事はわが家でする。車いす生活になったら、とてもじゃないが私ら夫婦だけでは手に負えない。

 カミサンが、自分の足で歩くためにリハビリをしっかりやるよう、何度もハッパをかけた。それが功を奏したのだろう。「転んだあとの杖」の助けを借りてだが、元のとおり歩けるようになった。

 家の中はバリアだらけだ。そのうえ高齢者になると運動能力が衰える。これからは私ら夫婦もそうだが、義弟もバリアを頭に入れて暮らすしかない。

 11月後半のある日曜日、夏井川渓谷の隠居で休んでいたら、隣の錦展望台に義弟が通っているデイケア施設の利用者が車3台に分乗して紅葉見物にやって来た。

 たまたまそれに気づいて、カミサンが旧知のスタッフに声をかけ、隠居で一休みしてもらった。

車いすの2人は庭で、ほかの7人は隠居に上がってこたつを囲み、対岸の森を眺めながらおしゃべりを楽しんだ。

 こたつを囲むまでには、スタッフに腕を抱えられ、手を取ってもらいながら移動する。足の筋肉が衰えているために、支えがないと歩けない。

その様子を見ながら、いずれわが身も、という思いになった。むろん義弟のことが頭をよぎった。

見るともなく見ていると、わずかの段差を超えるのが容易ではない。玄関のたたきから上がりかまちへは、介助なしでは上がれない。

義弟もまた古希を迎えたころ、わが家の玄関から茶の間へ上がるのが難儀そうだった。どうしたものかと考えているうちにひらめいた。玄関のたたきに高さ15センチくらいの踏み台を置けばいい。

で、ブロックを並べ、マットを敷いて踏み台にしたら、義弟も楽になったのか、「よいしょ」といわなくなった。

今度の入院では「フレイルの悪循環」という言葉を思い浮かべた。加齢や病気で筋肉量が低下し、それが運動量や食欲にも影響して、結果的には要介護状態になってしまう――

少なくとも今回はこの悪循環に陥ることはなかった。本人も車いすを嫌ってリハビリをがんばったようだ。

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