2023年12月29日金曜日

おちゃめな85歳

                      
 平日の夕方5~6時台は全国・ローカルのニュース番組を見る。7時台は、カミサンの見たい番組があればそちらを優先する。

 12月25日の月曜日は夜8時になってから、カミサンがEテレにチャンネルを合わせた。この時間にテレビを見るのは珍しい。

 ハートネットTV「私のリカバリー 85歳のトキメキはやまず 田村セツコ」。田村セツコって? カミサンが高校生のころ、少女雑誌でなじんだ挿し絵画家(イラストレーター)だそうだ。

 服装はまるでおしゃれな少女のまま。表情もとてもおばあさんには見えない。こんな人がいたのか! 少女雑誌を読まずにきた人間は、それこそ少女がそのまま老女になったような不思議さにびっくり、いや、ぶったまげた。

 まずはEテレの番組宣伝に当たる。「老いは人生初体験の大冒険。ワクワク楽しまなくちゃ」とあった。さらに、母と妹のダブル介護を経験したが、持ち前の好奇心で「楽しい介護」を探求、幸せな時間だったと振り返る――。なんとポジティブな生き方だろう。

 翌日、いわき駅前の総合図書館から『おしゃれなおばあさんになる本』(興陽館、2017年)、『おちゃめな生活 あなたの魔法力を磨く法』(河出書房新社、2016年)、『白髪の国のアリス 田村セツコ式 紙と鉛筆♡健康法』(集英社、2022年)の3冊を借りてきた=写真。

 まずは、これまでの歩みを。1938(昭和13)年に東京で生まれ、1960年代に雑誌「少女ブック」やマンガ誌「りぼん」「なかよし」の表紙などを担当し、1980年以降は名作童話に挿し絵を描いた。現在は絵日記教室の講師のほか、年に数回の個展、講演会などを開いているという。

 自分の着るものについては、「私って、服装の好みがぜんぜん変わらないの」。小学校のころから、白いブラウスと黒のベスト、チェックのスカート、黒か紺色のカーディガンが好きだった、という。

おばあさんになって、白髪が増えても同じ服装をしている、と振り返る。「女学生みたいって思われるかもしれないけど、そういうおばあさんがいてもいいんじゃない?」

 テレビで見たときの第一印象はまさに10代、それも小学生の女の子が着るような……だったのは、まちがいではなかった。

 驚いたのは、実は外見よりも内面の方だ。老いを初体験と考え、ダブル介護を苦痛ではなく楽しみにする好奇心。

 介護のコツは相手を褒(ほ)めて褒めて褒めまくることだという。「さすが」と「おかげさまで」は点滴より効果がある。

「わたしもいつのまにか、おばあさんの仲間入りをしました。ま、とにかく、おばあさんになるのは、生まれて初めてなので、内心、ひそかに、わくわくドキドキしているところです」

ということで、年の終わりに、いい言葉と出合うことができた。(ブログは12月30日から1月3日まで休みます)

0 件のコメント: