2023年12月2日土曜日

沿岸部にもクマが⁉

                     
 塩屋埼灯台に至る丘陵と、震災後開発された高台住宅地(塩屋台)の間にある公園で小学生が目撃したという。

 この1カ月半というもの、ほぼ2日にいっぺんは、義弟を見舞いに鹿島の病院へ出かけ、帰りは塩屋台の西端に接する県道小名浜四倉線を利用した。

 丘陵のてっぺんに豊間トンネルがある=写真。トンネルの西側にはゴルフ場、東へちょっと行けば灯台だ。

 一帯は、西は矢田川と鹿島街道、北は滑津川、南は小名浜市街地、東はむろん太平洋と、地形的には孤島のような緑のエリアになっている。

 その海寄りの一角で子どもたちが目撃したのは、親子らしいクマ3頭だった。テレビのニュースで知ったときには目を疑った。イノシシ、あるいは別の動物を見間違えたのではないか――。

 翌日、同じテレビで続報があったらしい。ネットで文章を読んでうなった。現場にいたのは5年生以下の小学生7人で、目撃した2年生がインタビューに答えていた。

 「気付いた時怖かった。友達の一人が泣いちゃった」「木にぶらさがっていた(略」「私のことをクマが見ていて私と目が合って、クマと同じ顔をしていた」

 小学2年生なら、もう見たこと、聞いたことを客観的に表現できる。この「証言」に触れて、私のなかから「イノシシ誤認」説は消えた。

 私も小学2年生のとき、新聞記者から取材を受けたことがある。そのときのやりとりを思い出した。昔のブログからそれを要約して再掲する。

――2年生になったばかりの4月中旬のこと。阿武隈高地にある田村郡常葉町(現田村市常葉町)で、町のあらかたが焼ける大火事が発生した。

すぐ消えると思っていたのが、そうではない。東西に延びる通りで人声がする。その声がだんだん慌ただしく、大きくなる。

外へ出て驚いた。西空が真っ赤に染まっている。乾燥注意報が出ているなか、火の粉が北西の強風にあおられて屋根すれすれに飛んで来る。

そうこうしているうちに紅蓮の炎が立ち昇り、かやぶき屋根のあちこちから火の手が上がる。町はたちまちのうちに火の海にのまれた。住民は着の身着のままで避難した。

近所のおばさんら大人何人か、同級生、牛1頭と、東西に延びる家並みから少し北側の山際に避難し、町が燃え続けるのを一睡もせずに見続けた。

夜がしらじら明け、同級生と2人で、学帽をかぶり、ランドセルを背負ったまま(それだけしか持ち出せなかった)、白煙がくすぶる焼け跡に下りていくと、人から尋ねられた。

「坊やのおうちはどこ?」「知らない」。翌日、「おうちを探す子ら」の見出しで新聞に載った――。

 子どもの本音をきちんと引き出したかどうかはともかく、2年生でも十分、記者に応答する力は持ち合わせている。

 であれば、「いわきにクマはいない」から、「いるかもしれない」に意識を切り替えた方がいい。同じエリアの小名浜寄り(洋光台)でクマらしいものが目撃されたそうだし。

※追記=けさ(12月2日)の新聞によると、洋光台の方はクマではなく小動物(イタチやアナグマなど)の可能性が高いということだった。

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