2023年12月23日土曜日

「転ばないでね」

                                 
 コロナ禍の前は、少人数の忘年会が1回か2回はあった。シルバーだけなら、最初からなじみのスナックで、となる。

 いわき市の一番の飲み屋街は、いわき駅前の田町(西側)と白銀町(東側)だ。田町に会社があったので、飲み会となればすぐ目の前のネオン街に繰り出した。

 会社を辞めて15年もたつと、なじみのスナックがなくなり、飲み屋街そのものが「見知らぬ街」同然になった。

 先日、それこそ数年ぶりで少人数の飲み会があった。夕方、バスで出かけるとき、カミサンから声がかかった。「転ばないでね」

 田町で酔って、千鳥足になって転んで骨折でもしたら、そのまま寝たきりの晩年になりかねない。飲んでなくても、転べばオオゴトになる。そんな人生の日暮れに入ったことは確かだ。

 ここ2~3カ月のことだが、カミサンの友人・知人が何人も、自宅で、外で転んでひざや肩を骨折し、入院して手術した。電話をかけるたびにそうした報告を聞くので、つい一声かけたくなったのだろう。

 身近な人間の例がある。足がもつれて転び、背中を打った。歩くことはできるが、背中が痛くて食事もままならない。町医者に診てもらったが打ち身という診断だった。

 ところが、痛みが引かないどころか、ひどくなる一方だ。とうとう救急車を呼んで病院に運ばれたら、背骨が2カ所、圧迫骨折をしていた。

 上半身にコルセットをはめ、リハビリを続けた結果、杖(つえ)をつきながらだが自分の足で歩けるようになった。

 転べばどこかを打つ。ひざ、肩、ひじ、手、背中……。骨折がわかると、手術が必要になるケースもある。肝心なのはそのあとのリハビリだ。

 拙ブログで何度か取り上げたが、筋肉の質量が低下しているシルバーは、なにかのけがや病気をきっかけに、歩けなくなってしまうことがある。

ある本によれば――。加齢や病気で筋肉量が低下する→足の筋肉量低下により歩行速度が落ち、疲れやすくなるため全体の活動量が減少する→全体の活動量が減少すると、エネルギー消費量が減り、動かないとお腹が空かないので食欲もなくなる→慢性的に栄養不足の状態になると、筋肉量がさらに低下し、全体の活動量が減る。「フレイルの悪循環」というそうだ。

先日、カミサンが病院から福島県発行の「フレイル予防ハンドブック」=写真=を持ち帰った。

フレイルとは、加齢とともに心と体の働きが弱くなってきた状態のこと、だそうだ。その先にあるのは要介護状態で、それを避ける(フレイルを予防する)ポイントは「人とつながる」「体を動かす」「いろいろ食べる」だという。

 「軽い運動や体操を週に1回もしていない」などのチェックシートが五つある。一つでもあてはまれば「元気なうちから予防を」、三つ以上あてはまると「すでにフレイル状態」だとか。

軽い運動と体操は欠かせない。そして、老夫婦の間には「転ばないでね」がこだまする。

0 件のコメント: