2024年4月5日金曜日

カラスがヤナギに営巣?

                            
 年度末の1週間は、街へ出かけても家に直帰した。いつもだと、帰りは夏井川の堤防に出て、川や河川敷の緑を見ながら戻るのだが、寄り道をするゆとりさえなかった。

 年度またがりで地域の仕事が続き、それがすんでやっと日常が戻ってきた。1日の午後、街へ行った帰り、何日ぶりかで夏井川の堤防を通った。

 平・鎌田~中神谷の対岸は平・北白土~山崎。この区間では、令和元年東日本台風からの復旧・強じん化工事が進められている。

 分厚く土砂が堆積し、市民が菜園を営んでいた北白土の河川敷は消えた。今は堤防の護岸工事がすみ、堤防そばに残る最後の土砂を除去している段階だ。

 右岸は、その意味では変貌した。川岸に何本もあった大きなヤナギの木をはじめ、草木はすべてなくなった。

 こちら側の左岸は手つかずのままだ。狭い河川敷の水辺にはヤナギの若木が生えている。左岸に堆積した土砂も間もなく撤去され、それに合わせて護岸工事も行われるに違いない。となれば、こちら側の緑もまた、一時的にせよ消える。

 何日か見なかった間に、岸辺のヤナギがすっかり緑を濃くしていた。少し大きいヤナギにカラスの古巣がある。ん⁉ その一つに黒いものが見える。動いている。カラスだ。カラスが巣づくりを始めたのだ。

 後続の車がないのを確かめてバックし、真横からカメラを向けた=写真。しかし、望遠レンズはない。拡大するとボケ・ブレがはっきりする。ぎりぎりのところで拡大をやめたが、カラスが巣づくりを始めたことははっきり分かった。

 令和元年東日本台風による水害が起きる前、右岸のヤナギの大木にはカラスが営巣していた。その観測記録(2005年)がブログに残っている

――右岸(平北白土)のヤナギの高木に営巣したのを観察したことがある。毎朝、会社へ行く途中、双眼鏡を当てて手帳に記録をとった。
 それによると、抱卵に気づいたのは4月13日。それからほぼ3週間後の5月2日あたりにひなが孵ったようである。5月13日の夕方には親ガラスが巣を離れたあと、黒い頭を二つ確認した――。

さらに、もう一つ。堤防を散歩道にしていたころ(2008年)の4月某日。国道6号(バイパス終点)の夏井川橋そば右岸にあるヤナギの大木に、「逆三角形」のかたまりが見えた。双眼鏡で確かめると、親ガラスが抱卵中だった。

今度の塩のカラスも、抱卵~巣立ちまで同じような経過をたどるのだろうか。人間が暮らす社会の隣、堤防で区切られた河川敷にも「生きものの社会」がある。とはいえ、国土強じん化工事の中で、岸辺のカラスは「住宅難」に陥った。そんな感慨も抱く。

そして、4月4日の木曜日。役所へ書類を出しに行った帰り、堤防に出ると……。巣にいるはずのカラスの姿がない(前日はいたのに)。

抱卵のための居心地を確かめていたのか、それとも至近距離を人間が通るために巣づくりを放棄したのか。また一つ気になることができた。

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