2024年8月19日月曜日

高温多湿の日々

                
 今年(2024年)の8月も半分以上が過ぎた。とにかく蒸し暑い。高温多湿は日本の夏の特徴とはいえ、後期高齢者にはこたえる。

 毎日、扇風機2台を動かしながら、茶の間で「文字読み」を続けている。例年この時期はそうだ。

一日に3~4本、何万字かでできた物語と向き合う。年寄りは家で静かにしているのが一番というから、文字読みはうってつけでもあるのだが、それでもじわっと汗がにじむ。

危険な暑さになる、エアコンをかけて熱中症を防ぐようにと、テレビが言う。扇風機しかないので、服装をできるだけラフにする。

昭和20年代の夏、阿武隈高地の実家で撮った家族写真を見ると、父親は私らと同じランニングシャツ姿だった。

実家は床屋なので、暑いときはそれで客の相手をしたのだろう。扇風機はあったかもしれないが、たぶんそれでは間に合わなかったのだ。

2010年9月に初めて台湾を旅行し、マイクロバスで台北の下町を通ったとき、父親を思い出すような光景に出合った。

家の庇(ひさし)が歩道まで伸びている。戸を全開した家の入り口で、じいさんがランニングシャツに半ズボン、サンダル履きの姿でイスに座っていた。

庇が連続して、通りはアーケード街のようになっている。日差しと降雨を避けるための台湾人の知恵だ。

今の私も、心理的にはこのジイサンに近い。上はランニングシャツではなく、半そでシャツ1枚。下は半ズボン。とにかく熱がこもらぬよう、汗がすぐ蒸散するよう、素肌をさらすようにしている。

 今年のいわき地方は多湿といっても雨不足だ。梅雨もそうだった。台風7号は暴風雨の心配があったが、同時に乾いた大地を潤す期待もあった。

山の方はけっこう雨が降ったらしい。8月17日には、川前で58.5ミリ。ところが、下流の平ではわずか0.5ミリだ。じめじめして暑いだけだった。

ほんとうの高温多湿は、アンコールワットのあるカンボジアのような国をいうのだろう。

雨季の終わりの9月に同級生と旅をしたことがある。曇っては雨、やんでは青空がのぞくものの、すぐまた雨という天気の繰り返しだった。

傘をさして遺跡を見学したが、着ているものがたちまち雨にぬれ、汗にぬれてびしょびしょになった。

アンコール(都)遺跡群の一つ、「タ・プローム」は、ガジュマルの一種、スポアン(榕樹)の根が遺跡のあちこちに絡みついていた=写真。

タ・プロームが建てられたのは12世紀末~13世紀初頭だが、都はその後、シャム(タイ)の攻撃を受けて荒らされ、放棄される。

人の手で維持・管理がなされなければ、石造建築物といえども本来の自然(密林)に覆われる。

雨の多い日本もまた、緑の繁殖がすさまじい。暴力的といってもよい。庭の草をむしるにしても、雨が必要だ。それがないことには、地面も硬くしまったままだ。

17日の午後遅く、にわか雨がきて庭に水たまりができた。が、土をほぐすほどではなかった。

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